フィギュア欧州選手権の波紋

ブダペストで開催されたフィギュアスケート欧州選手権は、ロシア勢にとって全体としては成功で、金2、銀4、銅2を獲得した。最も注目を浴びたのは、女子シングルの15歳の新星、ユリア・リプニツカヤの逆転優勝だ。

ボロソジャル&トランコフは勝ちはしたが

 ロシア最強のペア、タチアナ・ボロソジャル&マキシム・トランコフは、ロシア選手権を見送り、ブダペストに乗り込んだ当初は、状態は完璧だと思われた。例によって史上最高点でショートプログラムで圧勝。さらにフリースケーティング開始の1時間前には、主なライバルであるドイツのアリオナ・サフチェンコ、ロビン・ゾルコーヴィ組が、サフチェンコの体調不良で欠場するとの知らせが飛び込んだときは、ボロソジャル&トランコフの勝利は、ほぼ100%確定に見えた。ところが、フリースケーティングで文字通り躓いた…。

 まず、同時のトリプルジャンプの着地でトランコフが躓き、最初のカスケードでのジャンプでも転倒したため、カスケードは失敗。おまけに、トランコフがタチアナを投げたときに、彼女は氷上に横転した。

 その結果、フリーに限っては、ロシア・チャンピオンのストルボワ&クリモフに完敗したものの、SPの貯金でなんとか逃げ切った。ストルボワ&クリモフは銀。3位には、同じくロシアのバザロワ&ラリオノフが食い込み、金、銀、銅独占となった。

 

15歳の女王 ユリア・リプニツカヤ 

 女子シングルは、欧州選手権初出場の15歳の新星、ユリア・リプニツカヤが逆転優勝し、センセーションを巻き起こした。彼女は、「シンドラーのリスト」のサウンドトラックに乗って見事な滑りを見せ、唯一、観客を総立ちにさせた。

 SPは、ロシア・チャンピオンのアデリナ・ソトニコワに負けたものの、トータルの点数では209,72となり、近年の女子シングルでは、史上2番目の高得点となった。これを上回るのは、2010年バンクーバー五輪で韓国のキム・ヨナが記録した228,56点のみ。今や専門家の多くがリプニツカヤに、五輪でもメダルを期待している。

ビデオ提供:YouTube/デニス・ブラギン

 

アイスダンスは期待はずれ 

 イリイヌィフ&カツァラポフは、2種類の素晴らしい振り付けをもち、フランスのGPシリーズまでにそれらを完成させていた。

 しかも、今回の欧州選手権には、昨年の勝者であるボブロワ&ソロヴィヨフも(世界選手権は3位)、2012年の世界選手権で3位のフランスのペア、ペシャラ&ブルザも欠場したので、イリイヌィフ&カツァラポフの勝利は固いとみられた。

 SPで、このニコライ・モロゾフの教え子たちが、イタリアのカッペリーニ&ラノッテに0,04の僅差で遅れをとったのも、ちょっとした誤算と思われたが、「白鳥の湖」の“真ん中”でイリイヌィフが転んだことで、ロシア・ペアの希望は沈み、イタリア組の勝利となった。

 

男子シングルの人選はいよいよ混沌 

 しかし、最も興味深いのは、男子シングルの状況だろう。ソチ五輪の代表はまだ空席で、31歳のプルシェンコ(2006年トリノ五輪金メダリスト)と18歳の新鋭コフトゥン(2013年ロシア選手権優勝)が候補に挙がっているが、もともと不透明な状況がいよいよ混迷の度を加えることになった。

 アレクセイ・ミシンが指導するプルシェンコは、手術と長期療養の後、昨年は2度リンクに登場。11月には、ラトビアのリガで開かれた格下の国際大会で勝ち、ソチで開催されたロシア選手権では、コフトゥンに敗れ、2位に終わった。

 一方、コフトゥンはGPシリーズで活躍し、GPファイナルでは5位。仮に、コフトゥンがこの欧州選手権で3位以内に入っていれば、二人のうちどちらがソチ行きの切符を手にするかという問題は、終止符が打たれていたろう。ところが、そうはならなかった。

 コフトゥンは欧州選手権で5位に終わり、しかもSPでもフリーでも、4回転ジャンプ5つのうち3つを失敗した。

 躍り出たのは、セルゲイ・ヴォロノフ(銀)とコンスタンチン・メンショフ(銅)。26歳のヴォロノフは、昨年に続き連覇したスペイン強豪、フェルナンデスに敗れたものの、彼もソチ代表のレースに名乗りを上げることになった。

 ブダペストで観戦したヴィタリー・ムトコ・スポーツ相は、選考の問題について、個人的な意見と前置きしながら、あくまでスポーツ上の基準に従ってなされるべきとの考えを示した。また、国際スケート連盟(ISU)フィギュアスケート・テクニック委員会委員長であるアレクサンドル・ラケルニク氏は、ヴォロノフは三人目の候補になったと述べた。

 一方、ロシア・フィギュアスケート連盟会長のアレクサンドル・ゴルシコフ氏は、1月23日に五輪代表選手を発表ことを約束するとともに、コフトゥンについて次のような意見を述べた。コフトゥンは既に十分実力を証明してきているのに、これまでの選考の過程で疲れている彼をさらにブダペストに送ったのは誤りだった、と。

 

元記事(露語)