ロシア通信撮影
「まあ、考えてもごらんよ、こんな機械が全部の駅に設置されたら! モスクワの住民は世界一の足長になるよ」と、黄色いスポーツシャツの青年が有頂天になって言う。スクワットで無料乗車券を手に入れようと、仲間たちと一緒に順番を待っている。
記者は2人の若い女性のあとに並ぶ。
「本当にスクワットをするの?」と、一人の女性がもう一人に尋ねる。
「そうよ、それが何か?」と応える。
「そのあと赤い顔をして街を歩きたいの?」
7歳の男の子に大拍手
嵐のような拍手に会話がとぎれる。7歳の男の子が乗車券を手に入れたところだ。
ハイヒールを履いた女性がスタートの位置につく。ふらついて手を振りながら、女性がゆっくりと規定の30回をはたす。集まった人たちが拍手し、女性は「やったわよ」と歓声をあげ、乗車券を胸に押し当てる。スクワットしている 間、どこかで一緒に自分を支えてくれていた両親や親戚の人たちに、今にも感謝の言葉を語りそうだ。
新記録達成
「記録を破らなくちゃ」と、トレパン姿の青年がきっぱりと言う。
「30秒でやれよ」と仲間が言う。スクワット30回の時間制限は2分。今のところ、全員が成功しそうだ。
トレパンを履いた記録狙いの青年は、痙攣するようなスピードでスクワットを始める。判定機は、その激しい動きの半分も数えられない。新記録達成だ。
「これはタダだぜ!」という歓声が行列の中から聞こえる。「民の訪れは絶えることなし!だ」(訳注:プーシキンの詩『記念碑』より)
二匹目のどじょう
新記録を出した青年に続いて、かなりの年配の男性がスクワットを始める。30回スクワットをやったが、立ち去ろうとはしない。乗車券を手に入れたあと、スタートラインについて、またスクワットを始める。
「1日に1枚だけですよ!」と白いジャケットを着た判定機の操作員が大声で言う。「明日来てください!」
「だめだよ」と言って、その男性はスクワットを続けようとするが、操作員が判定機を止め、2枚手に入れようとした男性は引き下がる。
記者も挑戦
判定機に並ぶ行列は次第に短くなっていく。
「さあ、がんばって!」と記者の前の女子学生が、一緒に来た友達に辛辣な声援を送る。「ネットに一番ひどい写真を載せるわよ」
写真はみごとに撮れた。女子学生の顔は、実際に少し赤くなった。
今度は記者の番だ。判定機の前に立つ。スクワット10回、順調だ。20回、足が突っ張って痛い。25回、さらにつらくなる。30回、成功だ! まばらな拍手のなか、乗車券を取る。どうやら記者のスクワットはあまりエレガントではなかったようだ。見ると普通の乗車券とまったく違いはないが、こちらには「ソチ 2014」のマークがついている。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。