3月17日、サンクトペテルブルクの柔道マスター・クラスで山下氏が臨時の指導を行った =Photoxpress撮影
―柔道の哲学とは?
柔道の本当の流行が始まったのは、第2次世界大戦後です。日本は破壊され、国を建て直さねばなりませんでした。国民感情と周囲の状況が、格闘技の誕生を促進し、1960年のオリンピックのあと、柔道は有名になりました。柔道が現れたのは、日本の卓越した教育者、啓蒙家であり、指導者でもあった嘉納治五郎先生のおかげです。彼が、精神と肉体を結合するシステムを作り上げました。
―ロシアでもっとも印象に残った選手は誰ですか?
柔道選手なら、セルゲイ・ノビコフですね。彼は私と同様にオリンピック(1976年モントリオール)で金メダルをとりました。でも少し年上です。
カザン国際学生競技大会 (ユニバーシアード)
2013年7月6〜17日
国際学生競技大会の重要性は五輪と比較可能である。約60%の参加者が、その後五輪代表に加わるからだ。今大会以前には、1973年にモスクワで開催された。
2013年モスクワ世界陸上競技選手権大会
2013年8月10〜18日
ロシアでこの大会が開催されるのは初めて。主会場となるのはモスクワ市最大のスタジアム「ルジニキ」である。大会に向けて修復工事も計画されている。
2014年ソチ冬季五輪
2014年2月7〜23日
ロシアで五輪が開催されるのは2回目だ(前回は1980年モスクワ夏季五輪)。2010年バンクーバー冬季五輪の86種目から12種目増え、98種目が実施される。当然ながら、メダルの数もその分増える。
2015年カザン世界水泳選手権
2015年7月19日〜8月4日
世界水泳選手権は年2回行われる。大会種目には競泳、飛び込み、シンクロナイズドスイミング、水球、オープンウォータースイミングがある。平均して、150カ国から3000人の選手が参加する。
2018年FIFAワールドカップ・ ロシア大会
2018年6月8日〜7月8日
モスクワ、サンクトペテルブルク、カリーニングラード、カザン、ニジニ・ノブゴロド、サマラ、ボルゴグラード、サランスク、ソチ、ロストフ・ナ・ドヌ、エカテリンブルクで。
ソ連は概してスポーツが非常に強かった。まず頭に浮かぶのが、フィギュアスケートのイリーナ・ロドニナとアレクサンドル・ザイツェフ、体操のニコライ・アンドリアノフ、レスリングのアレクサンドル・カレーリン。実際、まだ幾人も名前を挙げられます。ロシアのスポーツの力は偉大ですから。
―この前のオリンピックにはいらっしゃいましたか? ロシアの柔道選手の好成績の原因は何だと思いますか?
はい、ロンドンへ行きました。ロシアの柔道は、ただもう素晴らしかったです。彼らの好成績の原因は、まず第一に、高度な集中力。ロシアチームのベストコーチにイタリアから招聘されたエツィオ・ガンバ氏のことはよく知っています。彼は、ソ連の時代からロシア選手に備わっている伝統的な能力に新機軸を加えることができました。
―日本の柔道選手はどうですか? 山下さんは、2000年のシドニー・オリンピックまで、強化ヘッドコーチだったでしょう?
日本は金メダル1個だけです。もちらん、我々はこんなに難しくなるとは予想していませんでした。日本選手が負けて、がっくりしているのを見るのはつらかったです。ロンドン大会で一番目についたのは、ロシア選手の積極性と、日本チームの自信の無さです。その上、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、ちょうど一番必要な時にオリンピックを訪れたことで、ロシア選手は力づけられました。
―今、日本ではプーチン大統領杯サンボ選手権大会が開催中です。こんな大会のアイデアはどこから生まれたのですか?
この企画を考えついたのは、私の友人である国際サンボ連盟会長のワシーリー・シェスタコフ氏と、プーチン大統領杯の大会実行委員長である浅井信幸氏です。以前、日本のサンボ選手はとても強かったのです。なぜでしょう。それは柔道選手がサンボをやっていたからです。10年前に柔道選手はサンボをやめ、レベルが急に落ちました。我々は何とかして状況を変えてみることにしました。当時は首相だったウラジーミル・プーチン氏を訪ねました。彼はこの企画に大乗きりで、それが今、実現したのです。日本で開催中の大会の優勝者らは、ロシアのカザンで行われるユニバーシアードに参加します。
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―素人っぽい質問になるかもしれませんが、サンボと柔道は同じものではありませんか?
サンボと柔道は2つの別のスポーツですが、「兄弟」みたいなものです。おそらく、サンボ選手が最大限に好成績をあげられるスポーツが柔道ですし、その逆も言えます。私個人としては、日本でもロシアでも、この2つのスポーツが互いに密接な関係を保ち続けていくのを願っています。また日本では、柔道をやっている人たちが、サンボにも興味をもつような気運を作りあげねばなりません。
―今、レスリングがオリンピック種目から外されようとしています。それについてのご意見は?
今、日本では非常に活発な運動が行われており、レスリングをオリンピック種目から外すことに抗議する署名が、もう10万以上集まりました。今一番大切なのは、このオリンピック種目がどれだけ重要かを、IOC(国際オリンピック委員会)に説明することです。彼らの意向を非難するのではなく、彼らにこの考えを届けることです。
―秋にはペテルブルグで第2回世界格闘技大会が開催されます。山下さんがそれに期待することは?
これは非常に面白い大会です。ロシアが近い将来に、2013年ユニバーシアード、2014年ソチ・オリンピック、2018年サッカー世界選手権、さらにラグビーの大会やワールドカップ・レスリングなど、多くのスポーツ・フォーラムを引き受けるのは、素晴らしい。ロシアでは素晴らしいスポーツ計画が実現されつつあり、ロシアでさらに大きなエネルギーがこれに注がれることを期待します。
―普段、柔道の技を使って、身を守ることはありますか?
これまで私は誰にも一度も襲われたことはありません。ひょっとしたら、みんな私のことを知っているからでしょうか。
―お子さんはいらっしゃいますか? お子さんたちは柔道をやっていますか?
3人います。長男は小さい頃、柔道をやっていました。娘はクラッシック・バレエをやっています。次男はあまりスポーツには熱心ではありませんが、毎日のように走っています。
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