写真提供:nissan
7kmのコースで1日だけのトライ
この挑戦には、一般車仕様、6気筒の2012年製日産GT-Rが使われた。540馬力だが、日産はあえてこれ以上の無駄な性能を加えていない。
雪嵐の強風により、2日間の予定だったこの挑戦は1日に短縮された。主催者は数日前からバイカル湖の氷上で会場準備をしていたが、結局風でこわれ、飛ばされてしまった。
レーサーが練習走行した後、何度か本番走行を行い、一番良い記録が選ばれるという方法がとられた。昨年は5キロメートルという短く制限されたコースで、マツダMX-5を使って記録づくりが試された。今年はコースが2キロメートル延長されたが、それでもレーサーにとっては短い。レーサーの意見では、10キロメートルぐらいが理想的なのだという。
「氷上コースのほうが楽だよ」
FIA世界耐久選手権に出場経験のあるロマン・ルシノフ氏は、時速300キロメートルの記録を目指してバイカル湖までやってきた。ロマン・ルシノフ氏は氷上で車を運転したことがないということが、この日明らかとなった。「モスクワの凍結した道路は走るが、氷上のレースということになると今回が初めて」とルシノフ氏。
それでも直線走行では特に困難はないという。「車の方向が逸脱しても、空気力学によって状態が修正される」。他の点ではアスファルトのコースよりも簡単だった。周囲に壁や囲いがなく、事故が起こっても衝突しないからだ。
氷上設定OK
それでも時速220キロになるとGT-Rは左右に揺れる感じがあった。そしてしばらくするとアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)がソフトウェアに誤った指令を与えたため、整備しなければならなくなった。厳密に言うと、これは異常ではない。GT-Rはアスファルトの上を走行するためにつくられていることから、標準的ではない道路との接触に反応し、状況を正そうとしたのだ。
問題の解決策が見つかると、ABSが順応しただけでなく、GT-R自体が揺れなくなった。「自動車がまったく別物になったから、これからは運転が楽になる」とルシノフ氏はたくさんジェスチャーを加えながら、興奮気味に話した。
いざ、本番!
本番になると、ルシノフ氏は車に乗り、遠くに消えた。そしてGT-Rは7分後に戻ってきた。GPS表示によると、時速293キロメートルで走行している。これは記録だが、ルシノフ氏はスピードメーターが限界に到達して、310キロメートル以上を表示しないとしても、この車にはもっと走れる能力があると考えた。
最後の挑戦では、減速しなければいけないことを意味するポールのある場所よりも、遠くでブレーキを踏んだ。アスファルトと違い、氷上ではすぐに減速することなどできない。GT-Rはゆるやかな減速の代わりに、10センチメートルほどに積まれた雪の境界に突っ込み、宙に浮いて未整備の雪の上に落ちた。雪がブレーキとなり、速度は落ちたが、さてどのぐらいのダメージがあるのだろう。
ラジエーターはへこみ、氷上に液だれして、走行はもう難しい状況となっていた。だが日産チームにとって今や自動車の状態よりも、時速300キロメートル超えこそなかったものの、ルシノフ氏が時速294キロメートルを記録したことの方が重要だった。
時速300キロを超えていたかも
ただ、実際にはこの速度を超えた可能性もある。遠隔測定装置「コンサルト3」は、時速301.32キロメートルを表示したからだ。コンサルト3は速度測定器ではないため、このような表示がなされてもロシア記録ブックにのせることはできない。
主催者は今、この記録を承認するすべての機関からの正式書類を待っている。そして次の挑戦に向けてすでに準備を始めた。来年もバイカル湖でスポーツカーが氷上走行をしそうだ。2014年2月も新たな記録を期待できるんだろうか。
*元記事(露語)
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