連続ドラマ「マジョル」
=Kinopoisk.Ruロシアのテレビ界では初めてとなった、「マジョル」の国際的な販売。ネットフリックスは2016年にもロシアの商品を調達していたが、それはアニメシリーズ「マーシャと熊」であった。マーシャと熊はこの時までにすでに、動画サイト「ユーチューブ」での無料配信によって、多くの国で人気になっていた。今回はネットフリックスが初めてロシアのブランドを国際展開することになるため、意義深い調達である。
「マジョル」の制作会社「スレダ」は、ロシアNOWの取材に対し、ネットフリックスが他の作品にも関心を示したものの、今回は一作品のみにしたと説明した。なぜ、このドラマが選ばれたのだろうか。
第一に、「マジョル」はプロシージュラル・ドラマ(捜査手続きもの)の大型プロジェクトで、万人向けである。医師、警察、弁護士などの専門的な作業を映している。近年の手続きものとしては、アメリカの連続ドラマ「ドクター・ハウス」や「グッド・ワイフ」があげられる。手続きものでは、縦・横演出法が用いられている。一話完結型で、他の話から切り離して見ることもできるのが「縦」の演出法。
同時に、従来の連続ドラマから引き継がれた「横」の演出法の要素も強い。捜査や他の専門的な活動は、メロドラマや主人公の生活の急展開と連動する。これらの急展開がドラマの進展とともに起こり、事件以外の物語にも視聴者をひきつける。マジョルはこのような欧米のテレビドラマの演出法の決まりを見事に活用したドラマ。ある意味、活用の正確さで模範的な作品である。第二に、「マジョル」の演出の普遍性はテーマの普遍性によってぶれることがない。モスクワ警察の刑事課の日常を描いている。ロシアのオリガルヒ(新興財閥)は、警察ともめて逮捕されそうになった自分の息子イーゴリ(主人公)を、学ばせ、賢くするために、警察に入れる。
海外でしばしば発信される「ロシアの生活」の固定観念に合わせた特異性が用いられている。オリガルヒがクラブで開くパーティー、モスクワ中心部でのランボルギーニのレース、キロ単位のコカイン、金持ちや有名人が勝ち組の証として確保する贅沢三昧の美女...。社会の富裕層に関する文化的なイメージそのものであり、国内では皮肉をもって、国外では好奇心、羨望、軽蔑の複雑な心境をもって受け止められている。
「マジョル」の視覚的な特徴は、ロシアの他のドラマの多くと異なる。カメラマンのウルグベク・ハルバエフ氏は、「おしゃれな」映像を撮ることを求められたようだ。とても大胆で非の打ち所のないソリューションになっている。ドラマは画像共有サイト「インスタグラム」の一番人気のフィルターで装飾されているようだ。とても鮮明で、毎度とまでは言わないが、注意をひくような仕上がりになっている。これがネットフリックスに注目された理由の一つであるならば、「マジョル」の制作者の作業は正しかったということであろう。
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