ロシア最大の仏教寺院に関する5つの事実(写真特集)

Ilya Naymushin/Sputnik
2023年4月、トゥヴァ共和国の首都であるクズル市に、新しい仏教僧院「トゥブテン・シェドルブ・リング」が開かれた。それは何で有名か?

1.9世紀から仏教が信仰されてきたトゥヴァ共和国に建てられた

 ロシアでは約150~200万人が仏教徒と自認している。その大半は、チベット仏教を信仰している。仏教徒が多いのは、ブリヤート共和国、カルムイク共和国、アルタイ共和国、トゥヴァ共和国、ザバイカル(バイカル湖東方の地域)などの地域だ。

 20世紀初めまで、現在のトゥヴァ共和国の領域は、モンゴルの一部だったため、歴史的に仏教が普及していた。20世紀初頭には、何人かの指導者がロシアの保護領になることを求め、ロシア革命後には、独立国のトゥヴァ人民共和国が建国された。第二次世界大戦中、トゥヴァ人は、ソ連を積極的に支援し、ヒトラーと戦い、馬、家畜、食料を供給した。そして1944年、トゥヴァは自治州としてロシア・ソビエト連邦社会主義共和国に編入された。

2.1930年代以来、トゥヴァで最初の僧院となった

 1920年代、トゥヴァには19の僧院が存在し、精神的指導者であるラマ僧が約3千人いた。形式的な独立にもかかわらず、トゥヴァは実際にはソ連の支配下にあり、1930年代には大規模な弾圧や半宗教闘争も行われた。すべての寺院は閉鎖され、仏教徒は迫害された。

 現在、トゥヴァ共和国の人口の約60㌫が仏教を信仰している。そして、共和国は精神的指導者カンビ・ラマを選んだ。

 仏教界は1990年代に復活した。1998年、首都クズル市に純白の寺院「ツェチェンリング」が建立され、信徒の拠り所となった。そして2023年4月、新しい僧院「トゥブテン・シェドルブ・リング」が厳かに開かれた。

3.この地をダライ・ラマが祝福

 僧院の建設は2014年に始まったが、その場所が選ばれたのは30年前に遡る。1992年、ダライ・ラマ14世テンジン・ギャツォ自身が仏教の復興を祝うべく、トゥヴァを訪れた。彼は僧院が建立される場所を祝福した。しかし、建設作業はさまざまな理由で延期されてきた。

 2022年、トゥヴァの代表団が、インドにおけるダライ・ラマ邸を訪問した。ダライ・ラマは、この僧院を自身の庇護下にいた。そして彼は、僧院の霊的守護者を「六臂マハーカーラ」(大黒天)とし、金メッキを施した、高さ1㍍の銅像を贈った。これは、ネパールの職人が制作したものだ(部外者はそれを見ることができない)。 

4.仏舎利が保存されている

 僧院の名称「トゥブテン・シェドルブ・リング」は、「釈迦牟尼仏の教えの解説と実践の地」を意味する。それは偶然ではない。

 マハーカーラ像に加えて、ダライ・ラマは何点かの、仏教の聖遺物、法衣、教典を僧院に寄贈した。贈り物の1つは、仏舎利(釈迦が荼毘に付された際の遺骨の一部)だった。僧院が厳かに開かれた際、儀式とともに神像の中に安置された。 

5. ロシア最大の仏教寺院

 寺院の敷地面積は9.3㌶に及ぶ。僧院ではまた、修道僧の寮、教法を教える研修センター、伝統医学センターの建設も計画されている。

 12階建ての寺院の高さは56㍍。1階には、トゥヴァおよび周辺地域の仏教の歴史における最も重要な遺物を展示するスペースがある。礼拝堂には彫刻家ダシ・ナムダコフによる複数の神像がある。この一連の作品を飾るのは、高さ10㍍の仏像だ。

 寺院の建立に際しては、ロシアの仏教建築の伝統と外国の例を参考にした。そのため、この寺院はチベットのラマの宮殿(ポタラ宮)や仏教大学を彷彿とさせる。

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