ロシア美術傑作史:オリガ・ローザノワの無対象作品(『緑の筋』(1917年))──忘れられたシュプレマティスムの傑作

 

『緑の筋』(1917年)

 今日、オリガ・ローザノワ作『緑の筋』は、バーネット・ニューマンやマーク・ロスコといった巨匠の作品に匹敵する傑作であるように思われる。ただしニューマンとロスコはこの作品を知りもしなかった。この絵は2人の天才がまだ子供だった頃に制作された。

 ロシア人画家、ローザノワは、1915年にマレーヴィチが創設した芸術家集団「スプレムス」のメンバーだった。彼女は単なる弟子ではなく、シュプレマティスム運動の活発なメンバーで、ロシア人詩人・画家のアレクセイ・クルチョーヌィフの妻だった。

 『緑の筋』は、無主題芸術におけるローザノワの光と色の研究の成果だ。キャンバスに投影された筋の魅力的な効果は、釉薬の複数の層によって生み出されている。また、この絵は作品が額縁を越えて延びているように見える絵画の先駆けだ。ローザノワは32歳でジフテリアに侵される直前にこの作品を完成させた。

 亡くなった当時、ローザノワは教育人民委員部に勤めていた。そのためこの作品は一旦人民委員部の保管庫に置かれた。その後ロストフ・クレムリン博物館に移され、1922年に倉庫にしまわれるまで短期間展示された。

 この絵が初めて本格的に展示されたのは、1987年の日本だった。だが、芸術界は以前から贋作を通して『緑の筋』を知っていた。この贋作はギリシア系ロシア人の美術品収集家、ゲオルギー・コスタキが友人から手に入れたもので、コスタキはこれを所有していたばかりか、1977年にはデュッセルドルフで展示もしていた。

 ところが10年後、ロストフ博物館で本物が見つかり、コスタキの持っている絵が贋作であることが判明した。オリジナルは現在ロストフ博物館に展示されており、ローザノワの没後100年を記念した絵画展では彼女の代表傑作として紹介された。

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