1.赤い支配者
大した題名に聞こえないかもしれないが、ドラゴンを飼い、魔力を持つスターリンなど良いはずがない! どの国にも医者を呼んだほうが良いおかしな人々がいることはご存知だろう。過去を崇拝するあまり、周囲にいると恐ろしい人々だ。ロシアにもそういう人々がいる。
2.パルミラ攻防戦:特殊部隊の霊能力者
シリアでの戦争がトレンドである(語弊があるかもしれないが)ことを考えれば、これを題材にした低俗なファンタジー作品が量産されていることは想像に難くない。そしてあなたの目は間違っていない。これがこの本の題名だ。なるほど我々がIS(イスラミック・ステート)を打倒するのに特殊能力を用いてくれる霊能力者を応援していることは認めよう。だが手元に5冊もあれば、彼の写真を求めて列に並ぶこともあるまい。
3.どこからともなく現れた騎士
「魔法使いのギルドと戦う空挺部隊少佐」とキャプションがあり、話は順調に進みそうだ。特に、この「未来から来たチャック・ノリス」の剣の持ち方を見ると。
4.未来から来た中尉
このリストにあるほとんどすべての本にキャプションが付いていることはすでにお話ししただろうか。これは副題ではない。題名が複雑怪奇に思える人のための注釈に過ぎない。 ロシア国防相セルゲイ・ショイグが、ナチスの軍服を着た2人のウクライナ人政治家を跪かせて立っている絵を見てもピンと来ないという人のために、キャプションによって物語の内容が明確にされている。「GRU(ロシア連邦軍参謀本部情報総局)のスペツナズがバンデロフツィと戦う」、つまりロシアの諜報機関の特殊部隊が、西ウクライナの超国家主義者(歴史的人物ステパン・バンデラに因んでバンデロフツィと呼ばれている)と戦うのだという。
5.自分の心を開け
これが『トワイライト〜初恋〜』か『アンダーワールド』、あるいはその間の何かのポルノ版なのか判断することはできない。だがこれは間違いなくPG-13指定のハリウッド大ヒット映画の要素をすべて含んでいる。ホラーのテーマ:チェック。胸元の開いた服を来て過度にセクシーに描かれた怯えた様子の女性キャラクター:チェック。シャワールームから出てきたばかりの吸血鬼風の色男:チェック!
6.破壊者「故郷」
どうか、どうか、どうか、誰か、この絵をマーベル・スタジオに送ってください!
題名の「祖国」はキャラクターの 名前のようだが、もっと酷いのは、左右の手で爪の生えている位置が違う点だ。彼はウルヴァリンとセイバートゥースの愛の産物なのだろうか。両者の力を具有しているのだろうか。知りたくもない。
7.寵愛を受けた女:未来から来た美女
これらの自称作家たちの間で、やけに未来が好まれているのに気付いたのは私だけだろうか。我々がここで断言できるのは、アレクサンドル・デュマの三銃士のフランス性を以てしても、このルイヴィトンのカバンを持った身持ちの悪そうな21世紀の女に抗うだけの気品は有していなかったということだ。なんと基準の上がったことか。
8.大熊の番人
キャプション:オークとエルフの世界にいる我らの男。我々の判定:「微妙」。さあ我々の目を見つめて、警官が異次元にテレポートしてそこで戦争に参加する物語のファンだったことなど一度もないと言ってご覧なさい。そう、それが我々の考えたことだ。
9.イギリスに死を:「ツァーリ」の命令だ!
あなたは「真のロシア人愛国者」だろうか。ならば「イギリスに死を」、とこの単純明快な作者は言う。どうも我々は再びツァーリを得たようだ。
私はもう一歩先へ進んで結末を想像したい。ロシアが勝ち、イギリス王室はなくなり、「ロシアの伝統的価値観」は後日改めて戦えるよう生き延びる道を選ぶ。
10.戦車兵:大祖国戦争の前線に立つエルフ
もちろん異次元へのテレポートは、ロシア警察の専売特許ではない。こちらは第二次世界大戦中のソ連にテレポートしたエルフだ。どうもソ連軍に味方してナチス・ドイツと戦うらしい。
私がこの表紙で気に入っているのは、エルフの容貌がアーリア人的ということだ。もし内容を知らなければ(実際知らないが)、私は彼がドイツのエージェントだと言ったことだろう。