世界最高水準のロシアのCM

Nike Russia
 本物の自動車を使ってカーリングをした経験はあるだろうか。はたまた、ホログラムで駐車を防がれたり、政治家の顔の上を運転したりしたことは? 世界最高のCMは、まさにこうした発想から生まれた。

 ロシアの携帯電話通信業社Tele2のCMが、6月に開かれたカンヌ・ライオンズで2つの賞を受賞した。無線信号を送る電力を雨を利用して生み出す世界初のWi-Fiルーターを紹介するCMだ。広告に関する世界で最も権威ある大会での受賞は、ロシアのCMの人気の高まりを反映している。カンヌ・ライオンズで過去10年間に賞を獲得したCM作品をいくつかご紹介しよう。

女性は何でできているか(2017年)

 ロシアの人気女子アスリート、トレーナー、バレエダンサー、女優らが登場したのは、性別に関するステレオタイプに立ち向かうナイキ・ロシアのCMだ。このCMは、ロシアにおける大手ブランドによるフェミ二スト的な主張としては最も優れたものの一つとなった。動画はソーシャルメディアで話題となり、カンヌ・ライオンズのフィルム部門で金賞を獲得した。

政治家を働かせろ(2013年)

 エカテリンブルグのクリエイターらがウェブサイトUra.ruのために作ったこの動画は、7つの賞を獲得するという記録を作った。動画は凸凹道に注意を向ける新奇な方法がテーマだ。アスファルトの窪みを、地元のクリエイターが描いた政治家の口の部分に利用している。道路を改善するという選挙公約が横に書き添えられている。

私に本を読んで(2017年)

 プロジェクトのコンセプトはシンプルだ。ロシアの孤児が有名人に、まるで親のように本を読み聞かせてほしいと頼む。願いに答える有名人らを映した動画とともに流されたこのCMは、孤児の支援を目的としている。プロジェクトは、エンターテインメント部門で銅賞を獲得した。

コーヒーは麻薬ではない(2016年)

 このCMでは、コーヒーがあたかも違法なものかのようにダークネットで売られ、消費者がそれをビットコインで購入している。狙いは、コーヒーは麻薬だという考えを揶揄することだ。この作品は銀賞を獲得した。

単なる標識ではない(2015年)

 ヤング・アンド・ルビカムのモスクワ支社が、NPOのディスライフと共同で、身障者用駐車スペースに車椅子利用者の像を投影した。身障者用スペースであることを無視して駐車するドライバーが多い中、そうした人々に注意を喚起することが動画の目的だ。この動画はプロモ・アクティベーション部門で銀賞を獲得した。

重力など習慣に過ぎない(2016年)

 ロシアの航空会社S7が米国のインディーロックグループのオーケー・ゴーとともに作ったこのミュージックビデオは無重力状態で撮影され、インターネットで人気を集めた。フェイスブックだけでも5千万人が視聴している。その出来栄えから、このCMはミュージックビデオ部門で銀賞を獲得した。 

自動車対ピアノ(2012年)

 この動画の制作者らは、自動車の上にピアノを落とした。無作為抽出されたインターネットユーザーらがこの企画に賛成したからだ。自動車事故がいかに予測不可能なものかを証明するのが狙いという。動画は、インタッチ社の自動車保険を薦めるものだ。350キログラムのグランドピアノが、モスクワのあるガレージに停められた車の上に9本のロープで1週間吊るされるが、その間、各ロープを切る要因となる現実の予測不可能な出来事(街の気温、贔屓のチームの勝利などなど)について人々は賭けをした。結局ピアノは6日目に落下。このプロジェクトはサイバー部門で銅賞を獲得した。

アウクツィオンの“On The Sun”(2017年)

 ロシアのロックグループ、アウクツィオンのニューアルバム“On The Sun”のプロモーションビデオは、スマートフォンのカメラを太陽にかざした時にだけ曲が流れ出すというアプリを紹介している。またアルバムのカバーデザインも、直射日光の下でしか見ることができない。この動画はエンターテインメント・フォー・ミュージック部門で銅賞を獲得した。

カー・カーリング(2017年)

 エカテリンブルグの人々が、車をカーリングストーンとして使用している。氷上で4つのチームが、試合で通常使われる花崗岩のストーンの代わりに、古い車を押している。試合は自動車保険会社スマートポリスを紹介するために行われた。試合の動画はロシア国内外で急速に拡散され、銅賞を獲得するに至った。

雨Wi-Fi(2018年)

 Tele2とジオメトリー・グローバル・モスクワは、雨水の流れで発電する4Gルーターを開発した。この機器はサンクトペテルブルグ各地に設置され、人々は他社が速い接続を提供できないような場所で高速インターネットを試すことができる。動画はアウトドア部門で銀賞を、そしてモバイル部門で銅賞を獲得した。

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