今月、キノタウル映画祭は、誠実で現実的なストーリーをありのままに描いた数十本の映画を上映した。現代のアート系映画は、ロシアではどうなっているのだろうか? さあ、見てみよう…。
1. 『夏』 キリル・セレブレンニコフ監督
ロシアの映画・舞台監督のキリル・セレブレンニコフによる最新の作品で映画祭は開幕した。この作品はすでにカンヌで上映され、ベスト・サウンドトラック賞を手にした。この映画は、1980年代のロシアのミュージシャンたちの人生を描いたもので、ロシアンロックの伝説的人物、ヴィクトル・ツォイとマイク・ナウメンコ、そしてナウメンコの妻ナターリヤとの三角関係も挿入されている。
2. 『ある任務の物語』 アヴドチヤ・スミルノワ監督
この受賞作は現実にあった出来事に基づいており、ロシアの文豪レフ・トルストイの人生に起きたエピソードを見せてくれる。トルストイは若く、情熱に満ち、自分の人生をより良いものにしようとしている。彼は、グリゴリー・コロコルツェフ中尉と出会い、二人は親しくなる。コロコルツェフの出世の道と、それに与えたトルストイの影響が、この物語の中心となっている。
3. 『アンナの戦争』アレクセイ・フェドルチェンコ監督
第二次世界大戦が、ナチスの強制収容所から脱走した小さな少女の目を通して描かれる。彼女は、ドイツの指揮官の事務所の煙突にずっと隠れていた。夜になると、アンナは、食べ物と水を探しに行く。映画は、彼女の人生のエピソードから構成されている。
4. 『世界の中心』ナタリア・メシチャニノワ監督
これは、獣医エゴールの人生についての物語だ。彼は、どこでもない場所の真ん中にある猟犬の訓練所で働いている。彼は、人間と仲良くするのが苦手で、彼のことを理解してくれるのは動物だけだ。つまり、エゴール自身とまったく同じように、どこにも居場所のない犬やキツネたちだ。この作品は、この映画祭で2018年のグランプリに輝いた。
5. 『ロシアの悪魔』グリゴリー・コンスタンチノポリスキー監督
この映画は、現実的な話で始まるものの、最後は、冒頭では想像もできなかったような血まみれのデォストピアとなる。主人公の芸術家、スヴャトスラヴ・イワノフ は、婚約者に良い印象を与えようと、モスクワでレストランを開くことにする。彼は、レストラン「ロシアの悪魔」の計画を、有力なビジネスマンでもある、花嫁アーシャの父親に提案する。彼は誠実なビジネスマンになろうとするが、それほど容易なことではない。この映画はベスト監督賞を受賞した。
6. 『ファン・ゴッホ家』セルゲイ・リヴネフ監督
父と息子についての物語。父は79歳の有名な指揮者で、今も栄光の中にいる。かたや息子は53歳の売れない画家。彼らは互いに遠く離れて暮らしている。しかし、父が死に至る病と診断されると、憎しみから愛への旅が始まる。
7. 『レイヴ』アレクサンドル・ゴルチリン監督
20歳代のサーシャとペーチャは、大音量のパーティと個々人の浮き沈み、不安定な人間関係が支配するテクノなモスクワで、狂ったような生活を送っている。表向きには楽しんでいるにもかかわらず、彼らは孤独に満ちていた。しかし、突然の出来事が、彼らに、自分たちの人生に疑問を抱かせ、自分自身と長いこと率直に向きあわせることになる。この映画は、キノタウル映画祭でベスト・デビュー賞を受賞し、ウラジーミル・ビトコフ監督の「深い河」と同時受賞だった。