ロシアの車道でのサバイバルガイド
Artem Zhitenev/RIA Novosti大都市では、「速度制限+20」というルールが最も一般的だ。=アルチョーム・ジテネフ/ロシア通信
ロシアのドライバーは算数がとても得意だ。速度制限の道路標識を見るごとに、その速度に、自動的に20 km / hを加える。それがスピード違反の罰金基準なのだ。一部の地域では、速度制限に10~15 km / hを加えるところもあるが、全体としてそれは例外である。大都市では、「速度制限+20」というルールが最も一般的だ。
あなたが速度制限に従うか、またはそれより遅く走ると、ドライバーのなかには、あなたが初心者かアホだと思って、それなりの態度に出て、軽蔑する者もいるだろう。あなたがあんまりゆっくり運転すれば、警官に止められることさえある。警官の論理は、つまり、あなたは酔っぱらっているので、事故を避けるために極度に慎重に運転しているのだ、ということになる。
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もしあなたが誰かの走行の邪魔をしたり、何か間抜けなことをしでかしたときは、そのドライバーの目を見ないこと。あなたは睨みつけられるだろうし、それをまた睨み返せば、争いが起きるかもしれない。
最良の選択肢は、あなたの窓に錫メッキすること。あなたは別に水族館を運転するわけではないのだから、問題ない。ロシア人ドライバーの多くが錫メッキしているのはそのためだ。メッキのせいで500ルーブル(約900円)の罰金をとられることもあるが、それでも彼らは、フロントガラスやフロントサイドガラスの着色を止めない。
これらの車がまだ空を飛んでいなくて本当によかった!ロシアの道路では、どの車がいつどんな方向に行くか分からない。初心者、女性、またはやたらと暇な人だけがわざわざターンシグナル(方向指示器)を使う、と思っているドライバーもいる。
しかし、ハザードランプは広く使われている。ターンシグナルなどあずかり知らぬドライバーも、このランプは使うのが好きだ。例えば、彼らがあなたの前で急に曲がるとき、すぐにオンにする。もしかすると、「ごめんね~」とか「失せやがれ!」とか言いたいのかもしれないが、定かではない。
一般的には、ハザードライトは、「ありがとう」または「注意!駐車場のこの狭い場所にバックしているから、もし私を止めたかったらクラクションを鳴らしてくれ」などを意味するだろう。
ロシアのドライバーはこう考える。青信号の点滅または黄信号を見たら、思い切りぶっ飛ばすべきだ、と。でも、そんなとき、あなたはあまり早くスタートしないように。それらのシューマッハたちの相手をするより、後ろで2〜3回警笛をビービー鳴らされるほうがマシだから。
ウラジーミル・セルゲエフ/ロシア通信
もしあなたが、モスクワ(または他のロシアの大都市)で、がら空きの道路で運転しているのに気がついたら、ルートを確認したほうがいい。もしかして、その道はあなたを世界の終わりに連れて行くのではあるまいか?…ロシアの都市に渋滞のない時間と場所を見つけるのは難しいのだから。
リアルタイムで道路交通情報を表示するYandex.MapsやGoogle Mapsなどのアプリを使うと、時間が節約できる。Yandexは、向こう数時間の状況も予測する。あなたが完全に渋滞にはまり込み、止まってしまったら、異文化を受け入れる準備をしよう。
ロシアの交通渋滞には独自の“経済活動”があり、例えば、物乞いをする人、車の充電器、花束、ハンドスピナーを売る人、チラシ、無料の新聞を配る人などが現れる。
もう一つ面白いのは、道路の端を効果的に使用しようとする賢い人たちだ。彼らはウンカの如き他の車を尻目に、道端にフェンスや監視カメラが現れる前に、前方の道路の間隙に食い込もうとするのだが、かえってまずいことになるのが落ちだ。
ロシアの道路で誰が譲るべきかについて、主なルールが2つある。1つ目は、ロシアに限らず普遍的なものだ。すなわち、どんな愚か者にも道を譲るべきである。彼らはいつもやたらと急いでいて、スピードなど気にせず、道路の端を走ったりする。ターンシグナルも使わない。そういう連中は放っておくのがあなたにも好都合だろう。
もう一つのルール。イマイチ確信がもてないときは、あなたのより大きな、あるいは高価そうな車は、先に行かせよう。まるで中世みたいに聞こえるかもしれないし、知的でもないかもしれないが、寛大になろうではないか。彼らが自由な社会に生きるようになってから27年しか経たないのだ。だから、大型の黒塗りのSUVには遊ばせておこう。そういうのを放っておいて、寛大ぶるのが得策だ。
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虎の巻は以上だ。安全運転で、ロシアでのドライブを楽しもう。ダッシュカメラを使用することをお忘れなく。あなたがどんなスバラシイ場面に遭遇するか分からないのだから。
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