「羊に戻ろう」「山が肩から落ちた」

画像:イリヤ・オガリョフ
 古今東西を問わず、人は諺、金言、格言などで言葉を飾るものだ。ほっと安心したとき、あるいは役立たずだと呆れたとき、ロシアではどんな諺を使うのだろうか。

1. 自分の皮から飛び出す(死力を尽くしてがんばる)

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 単に全力を尽くすというのでは、ロシア人には不十分。文字通り、自分の皮から飛び出すくらいでないといけない!

2. この事にかけては“犬を食う”(通、ベテランである)

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 あなたが何らかの特定の分野で有能な専門家になることを夢見てきたのに、まだ成果があがらないとしたら、ロシア人のように“犬を食う”べきかも(実際に食うわけではないが)!

3. 山が肩から落ちた(肩の荷が下りた)

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 山があなたの肩に乗っかっていたとして、それがついに肩から落ちたとき、あなたはたとえようもなく、ほっと安堵するだろう!

4. 鼻を引っぱる(一杯食わす、ペテンにかける)

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 あなたが誰かに一杯食わしたいなら、“鼻をつかんで引っ張れば”いい。昔、ロシアの、熊が出るお祭りでは、ジプシーがそういう風にやったものだ。つまり、人混みのなかを熊の鼻輪をつかんで引きずりまわし、餌で釣って曲芸をやらせるのだが、餌は何もやらないのだ。

5. 我々の羊に戻ろう(本題に戻ろう)

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本題に戻ろうと言うときの、ロシアの典型的な表現。意外にも、15世紀のフランスの、あまり有名でない笑劇「弁護士ピエール・パトレン」から、ロシア語に入ってきた。

 この物語は、羊飼いがラシャ商人から数匹の羊を盗んだので、後者が訴えた。ところが二人は裁判所で口論に夢中になり、絶えず本題から逸れる。そこで裁判官が本筋に戻ろう、つまり「羊に戻ろう」と呼びかける。

6. 豚に真珠

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 これは日本でもおなじみで、要するにまったく無駄、無益だということ。その起源も良く知られているように聖書の一節だ。

 「神聖なものを犬に与えてはならず、また、真珠を豚に投げてはならない。それを足で踏みにじり、向き直ってあなたがたにかみついてくるだろう」(マタイによる福音書7-6、新共同訳)

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