コサックの伝統的な競技大会

コサックの伝統的な競技大会「シェルミツィ」、ロストフ州、2016年5月10日=

コサックの伝統的な競技大会「シェルミツィ」、ロストフ州、2016年5月10日=

ヴァレリー・マトィツィン撮影/タス通信
 刃と刃のぶつかり合う音、馬の駆ける足音、目が離せない数々の曲芸。コサックの「シェルミツィ」は、南ロシアのステップの主たちによる勇敢さを競うスポーツの伝統的なマスタークラスだ。

 ロシア南部のクバンやドン出身の自由を愛する勇ましい騎士と言われるロシアコサックたちの恐れを知らぬ勇敢さはよく知られているところだ。18世紀から20世紀初頭にかけて、帝国軍のコサックたちはその豪胆さと素晴らしい戦闘能力によって、とりわけ貴重な存在とされた。そんなコサックたちの戦闘における機動力は昔から、シェルミツィと呼ばれる「模範演技」あるいは「ショー的」な戦いの中で磨かれてきた。

 

シェルミツィとは

 コサックたちはいつも刀剣の技術に優れていたため、シェルミツィにおける重要な戦いはサーベルと槍を用いたフェンシングであった。もちろん戦いの目的は敵を切りつけたり刺したりすることではないため、サーベルの先は後ろに向けられ、鋭利な槍の先は柔らかいものに取り替えられる。また練習やゲームでは剣ではなく棒が使われる。

ヴァレリー・マトィツィン撮影/タス通信ヴァレリー・マトィツィン撮影/タス通信

 もうひとつの人気のゲームは歩きながら目標物を切っていくというもの。参加者はいくつもの障害物(目標物)が置かれた一定の距離を徒歩または馬に乗り、障害物を切りながらまっすぐ進んでいく。定められた時間ごとに点数が加算されていくため、より早くすべての目標物を切ってゴールしなければならない。

 さらにシェルミツィは拳闘なしには語れない。もっとも一般的な戦いの形式は2つで、1つはリングの中、もう1つはマット上で戦うというものだ。リングの戦いでは相手を輪の外に押し出し、数秒間リング外に留めた方が勝者となる。一方、マットの戦いでは相手をマットの上に倒し、一定の時間相手が起き上がることができなければ勝者となる。

 見応えのある剣闘や拳闘を見たあとはもう誰も驚かせるものはないように思われる。しかしここで始まるのが馬術競技である。シェルミツィの中でも恐らくもっとも興奮するゲームだろう。これはまさにショーと言えるもので、コサックたちは民族衣装を身につけ、馬で駆け抜けながら弓射をしたり、槍で戦ったり、複雑なアクロバット芸を見せる。

ヴァレリー・マトィツィン撮影/タス通信ヴァレリー・マトィツィン撮影/タス通信

 

誰でも見ることができるシェルミツィ

 コサックのシェルミツィは毎年行われている。2010年以降、ロストフ州では州のスポーツと定められた。というわけで、この印象的な戦いを見てみたいという人はドン川の岸に行けばよい。

 もっとも有名なシェルミツィは毎年5月にスタロチェルカスクの聖アンナ要塞で開催されているもので、この大会はすべての人に開かれたものとなっている。しかしながら、今のところすべての人に可能なのは見学のみで、実際に競技に参加できるのはコサックだけだ。シェルミツィには、古い伝統に従い、部族の旗を持った何世代もの親戚たちが家族総出でやってくる。

 コサックは厳格な性格の民族であるため、勝者に対して賞金は贈られない。とはいえ、もっとも勇敢で強かった参加者にまったく何も贈られないというわけではない。たとえば今年5月に開かれたシェルミツィでは、騎射の優勝者に手作りの騎射用品一式が贈られた。真のコサックにとってこの贈り物はきっとお金より価値があるものだろう。

ヴァレリー・マトィツィン撮影/タス通信ヴァレリー・マトィツィン撮影/タス通信

 シェルミツィで必ず目にすることができるのが、子どもたちのコサックへの入団式である。ステップの騎士であるコサックたちにとって世代の継承性というのは神聖なるものだ。大会終了後、3〜10歳のコサックの子どもたちが恭しく馬に乗せられる。初めて鞍に跨がった子どもたちは、象徴的な形でコサックの共通性というものに触れるのだ。胸打たれる瞬間である。

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