総員艦上へ!

アヴローラ号=

アヴローラ号=

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 いくつかの船は、耐用年数を終えたあとも活動を続けている。ロシアNOWは、ミュージアムに転用された、ロシアの伝説的な5つの船をとりあげてみた。

1.アヴローラ号(サンクトペテルブルグ)

 この有名な船は、ロシアで何隻か系統的に建造された初期防護巡洋艦の1つ。当時の伝統により、軍艦に命名できたのは君主(皇帝)だけだった。ニコライ2世は11の艦名候補を選び出し、その中から「アヴローラ号」に最終決定した。注目すべきなのは、皇帝艦隊の船舶のうち、これは革命後に艦名が変えられなかった唯一の船だということ。1905年にアヴローラ号は対馬沖海戦(日本海海戦)に参加した。また1917年には、アヴローラ号の艦砲から、冬宮襲撃と十月革命に端緒を開く威嚇砲撃がおこなわれたとされ、この十月革命がソビエト政権成立の始まりになった。アヴローラ号は、7月には2年間の修理を終えて、ペトロフスカヤ河岸通りに戻されるはずだ。一新された展示物は、日露戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦へのアヴローラ号の参加についても語るだろう。

 

2.聖人ニコライ号(クラスノヤルスク、モスクワの東4150キロ)

Lori/Legion-MediaLori/Legion-Media いくつもの金山や工場や船舶会社のオーナーだったアレクサンドル・シビリャコフは、切れ目のない一続きのシベリア水路を作ることを夢見ており、自分でも学術調査に参加した。そのシビリャコフが所有する船の1つが「聖人ニコライ号」だった。19世紀末から20世紀初めにかけて、この船は現地で最高速の船と見なされていた。1等船室、2等船室が14室あり、3等客の居場所は甲板だった。聖人ニコライ号に2度、珍しい乗客が乗船してきた。1891年に日本訪問の帰途、ニコライ皇太子(のち皇帝ニコライ2世)が、この船に乗ってクラスノヤルスクまで航行した。また1897年にはこの船がウラジーミル・レーニンを流刑地に運んだ。革命後にこの船は「クラスノアルメーエッツ(赤軍兵士)号」や「フリードリッヒ・エンゲルス号」になり、石油運搬バージ「チューバ号」にさえなった。1970年代以後、聖人ニコライ号はミュージアムとして利用されている。

 

3.アンガラ号(イルクーツク、モスクワの東5190キロ)

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 世界最古の砕氷船が進水したのは1900年。シベリア鉄道建設委員会の発注により、ニューカッスル(英国)のアームストロング・ホイットワース造船所で建造された。鉄道建設の作業期間に作業員スタッフは平底船によって輸送され、砕氷ディーゼル船がその水路を切り開いたのだ。アンガラ号は1960年代初めまで運航を続けたが、1990年にイルクーツク貯水池のソーンネチヌイ団地付近の湾に係留された。昨年、イルクーツク州郷土博物館は、アンガラ号船上の展示を一新した。その展示は、アンガラ号自身の歴史だけでなく、バイカル湖の船舶航行の歴史についても語ってくれる。

 

4.ヴィーチャシ(勇士)号(カリーニングラード、モスクワの西1130キロ)

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 ヴィーチャシ号は、建造以来、4度名前を変えた。最初に誕生したときは「マルス号」だった。第二次世界大戦後に英国からソ連に移管され、1949年には「ヴィーチャシ号」になった。オホーツク海、黒海、日本海、大西洋、太平洋、インド洋で学術調査作業に従事し、とくにマリアナ海溝の最大深度の測定を行ったのが、この船だ。1994年にヴィーチャシ号は、カリーニングラードのピョートル大帝海岸通りに永久係留され、ここに船舶航行と地理学的発見の歴史を語るミュージアムが開設された。琥珀を主題とする独立した展示コーナーもある。

 

5.クラーシン号(サンクトペテルブルグ)

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 ロシア艦隊向けにアームストロング・ホイットワース造船所で建造された、もう1隻の砕氷船が「スヴャトゴール号」。これはロシア英雄叙事詩の主人公の名前からつけられた船名だ。船は1917年秋に北氷洋船団に加えられたが、数年後に英国干渉軍により運び去られた。ソ連政府が砕氷船を英国から買い戻すことを決めたとき、その交渉に積極的に参加したのがソ連の全権通商代表だったレオニード・クラーシンで、後にその功績に対して、船にはクラーシンの名前がつけられた。1920年代末にスヴャトゴール号(クラーシン号)は、飛行船「イタリア号」で事故に遭った、イタリアの北極圏調査団のウンベルト・ノビレを救助した。1990年代から砕氷船はミュージアムになり、現在、サンクトペテルブルグのシュミット中尉河岸通りわきに係留されている。

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