ボリショイ劇場が若き振付師探す

AP/East News撮影
 ボリショイ劇場のセルゲイ・フィーリン元芸術監督は、劇場内に新しく設立される青年振付師ワークショップを率いることになった。才能のある若者を招き、ウェイン・マクレガー氏やポール・ライトフット氏のレベルの振付師に育てる計画を立てている。

 ボリショイ劇場のウラジーミル・ウリン総支配人は3月1日、劇場にワークショップを創設し、フィーリン氏を招くことを明らかにした。欧米からは、偉大なモダンの振付師も招かれるとのことであるが、具体的に誰なのかは、今のところわからない。

 フィーリン氏自身は、新企画に喜んでいるものの、詳細を話すにはいたっていない。「ある程度時間が経過して、おもしろいプロジェクトがでてきたら、この話題に戻ろう」とフィーリン氏はロシアNOWに話した。

 このような謎めいた回答は、世界中のバレエ団がかなり前から実施している活動が、21世紀に入ってもボリショイ劇場にとっては極めて冒険的なできごとであることを証明している。

 

クリエイティブさを求めて

 ボリショイ劇場はずっと、クリエイティブなアイデアや新しい立案者の不足に悩まされてきた。この状況を変えようとしたのが、2004年から2009年までボリショイ・バレエ団の芸術監督を務めたアレクセイ・ラトマンスキー氏である。就任最初の年に、新振付ワークショップを開設し、劇場の所属者だけでなく、劇場外のやる気のある人なら誰でも招待した。バレエの所属とは流派なのだからと。

 若き振付師の作品は、アンドレイ・メルクリエフ氏、エカチェリーナ・クルィサノワ氏、ウラジスラフ・ラントラトフ氏といったスター・ダンサーを集めた。プリマのマリアンナ・ルィシキナ氏は、ダンサーとして、また振付師として参加した。

 若き振付師からはハンブルク・バレエ団のダンサーであるイワン・ウルバン氏、マリインスキー劇場およびロンドン王立歌劇場に所属していたヴャチェスラフ・サモドゥロフ氏(その作品「ウンディーネ」のプレミアはボリショイ劇場で6月24日に行われる)が、評論家の目にとまった。

 ボリショイ劇場の幹部の交代により、ワークショップは閉鎖された。ウリン氏は総支配人の座に就任すると、このアイデアを再び提起したが、なかなか実現することができなかった。ネックになったのは場所の確保。ボリショイ劇場の2つの舞台に、若き振付師を潜らせることなど、到底不可能であった。

 モスクワのボリショイ・バレエ・アカデミーのバレエ教室で3月3日、学生たちが演技を行った。ステータスの高いアカデミーには、721人の学生がおり、うち84人が外国人である。多数派は日本人の28人。他には17人のアメリカ人がいる。残りは22ヶ国の学生。=AP/East News撮影

 

学びに終わりはない

 サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場が独自の工房を開設したのは、わずか4シーズン前、国際バレエ・フェスティバルの開催期間中のことである。そしてレパートリーが急増した。例えば、アントン・ピモノフ氏の「振付ゲーム3x3」は、マリインスキー劇場や、ドイツのバーデン・バーデンおよびアメリカのニューヨークのツアーでも上演された。最大の成功は、振付師ウラジーミル・ヴァルナフ氏にもたらされた。ジャン・クリストフ・マイヨー氏から、モンテカルロ・バレエ団の演目をつくってほしいと提案を受けたのだ。マイヨー氏と、パリ・オペラ座のバレエ団を率いていたベンジャミン・ミルピエ氏(L.A.ダンス・プロジェクト)は、マリインスキー劇場でワークショップの参加者の作品が披露された際、客席にいた。

 マリインスキー劇場バレエ団のユーリ・ファテエフ臨時団長はこう話す。「振付を教え込むのは不可能だが、振付師が自分の作品を披露できる場を提供し、観客を招くことならできる。ボリショイやマリインスキーのような劇場には定評があるため、新人に注目が集まりやすい。若い演出家への助けとなる」

 ボリショイ劇場が積極的に提携している外国人振付師の中には、ウリン総支配人によれば、マイヨー氏、マクレガー氏、ユーリ・ポソフォフ氏、ライトフット氏、ソルレオン氏、クリストファー・ウィールドン氏などがいる。マスターらが見学し、若き振付師の作品にコメントをしたら、ワークショップの課題は遂行されたことになる。

 振付師としてさまざまな場所で積極的に活動するルィシキナ氏によると、ボリショイ劇場でマッツ・エック氏のバレエ「アパート」に参加した後、ダンスに対する独自の見方ができあがったのだという。「真新しい作者のアプローチを生で見れることは、ダンサーにとっても、振付師にとっても、とてもラッキー」