モスクワ・ビエンナーレの必見展

マルチメディア美術館撮影
 

「いかに共生するか?ユーラシア島のド真ん中の中心街からの眺め」

VDNHパビリオンNO.1、9月22日~10月1日、10月3日~11月1日

 

 第6回「モスクワ現代美術ビエンナーレ」の主要なプロジェクト。最も実験的な展覧会として歴史に残るだろう。すべての芸術作品は、9月22日から10月1日までの10日間、展覧会場で制作される。しかも主要なオブジェは彫刻や絵画ではなく、ユーラシアの民族の相互関係をテーマとしたディスカッションとパフォーマンスだ。展覧会のキュレーターであるバート・デ・バレ氏、ニコラウス・シャフハウゼン氏、フネ・アヤス氏は、経済危機の真っ只中、可能な限りコストを抑えた展覧会にしようと、英雄的な努力を行った。10日間の制作活動の後、パフォーマンスの動画やアーティファクトが展示会で披露される。

 この前衛的な祭典に参加することを個人的に決めた人は、建築家レム・コールハース氏、イタリアのアルテ・ポーヴェラの巨匠ミケランジェロ・ピストレット氏、またはヤニス・バルファキス元ギリシャ経済相などの素晴らしい人々との議論に参加することができる。パフォーマーの中には、サーダン・アフィフ氏、アンドレイ・クジキン氏、タウス・マハチェワ氏、さらにポータルサイト「eフラックス」の創設者アントン・ヴィドクレ氏などもいる。

 

アニッシュ・カプーア「私の赤い故郷」

ユダヤ博物館・寛容センター、922日~2016117

写真提供:ユダヤ博物館・寛容センター

 インド出身のイギリス人彫刻家で、現代美術の国際的なスーパースター。数々の栄誉と賞を受け、イギリスのターナー賞を受賞し、ベネチア・ビエンナーレに出展している偉大な芸術家アニッシュ・カプーア氏は、大ぶりの作品を好む。カプーア氏の巨大な彫刻は世界中にあり、壮観で見る人の衝撃が計算されている。とはいえ、作品が必ずしもすべての人に称賛されているわけではない。最近、パリのベルサイユ宮殿にあるインスタレーションは、落書き、冒涜された。

今回の展覧会の注目作品は、12メートルの巨大な蝋サークル。中でスチールピンが移動し、蝋の層を削っていく。このようにして来館者が血のにじむ地球の痛みと苦悩を視覚的、物理的に感じられるようになっている。ユダヤ博物館はカプーア氏の4つの彫刻を搬入した。

 

ルイーズ・ブルジョワ「生活の構造:檻」

現代美術館「ガレージ」、925日~201627

「写真提供:現代美術館「ガレージ

 フランス系アメリカ人アーティスト、ルイーズ・ブルジョワ氏は20世紀の最も謎めいたアーティストの一人。展覧会は必見だ。80作品がミュンヘンのハウス・デア・クンストからモスクワに運ばれた。

 モスクワの回顧展では、主要なテーマの一つである檻に焦点が当てられた。ブルジョワ氏は檻を痛みのシンボルと考えていた。子ども時代に心の傷を受け、それが芸術の原動力となった。これらのおもちゃの檻の中には体の一部、人形、ギロチン、鏡がある。作者の潜在意識にある悪夢のカバンなのだ。

 美術館の外には、思いやりのある母親を体現した、クモの大きな鋼鉄のオブジェ「ママン」がある。格納庫の中では巨大な鏡が回転している。鏡には作品「昼が夜を占領したのか、夜が昼を占領したのか」が映っている。これは来館者の潜在意識に投げかけるブルジョワ氏のもう一つの謎である。

 

ピョートル・ヴァイデリ「テクネ改革」

エルモライ通りのモスクワ現代美術館、911日~111

写真提供:モスクワ現代美術館

 キュレーター、美術理論家、教授であるヴァイデリ氏は、メディアアートの先駆者たる芸術家としてモスクワに登場する。とはいえヴァイデリ氏の作品が純粋な技術的実験だったことはない。ビデオに熱狂した1970年代も、デジタル技術が拓かれた1990年代も、常に社会批評家であり続け、メディア暴動者と呼ばれた。

 ビデオおよびビデオインスタレーション以外に、今回の展覧会では運動のドキュメンタリーが披露される。最もよく知られているのは、ウィーン・アクショニズムの繁栄期、美女で現在のフェミニストアートのアイコンであるヴァリエ・エクスポート氏が、ヴァイデリ氏を紐につなぎ、ウィーンの街を散歩させ、ブルジョアジーにショックを与えた時に作られたもの。

 

AES+F「インベルソ・ムンドゥス」

マルチメディア美術館、99日~111

写真提供:マルチメディア美術館

 4人組のアート・グループ「AES+F」(タチヤナ・アルザマソワ氏、レフ・エヴゾヴィチ氏、エヴゲニー・スヴャツキー氏、ウラジーミル・フリトケス氏)の新作それぞれが、まるでハリウッドの大作のプレミアのように、世間をあっと言わせる。

 ひねりのきいたテーマ、群衆、ふんだんな特殊効果など、これらすべてが、動画、映画、写真の狭間で活動するAES+Fの映像を、以前から特別なものにしている。今回は中世の木版画インベルソ・ムンドゥス(反転世界)のシーンを映像化。豚が肉屋をさばき、生徒が教師に罰を与え、乞食が金持ちに物を与えている。AES+Fの解釈では、アポカリプスが豪華で非常に魅力的に見える。だが「反転世界」に対する切なさも込められている。