シニア10人のストリートスナップ

写真提供:イーゴリ・ガヴァル

写真提供:イーゴリ・ガヴァル

オムスクの写真家イーゴリ・ガヴァル氏は、ロシア各地を旅しながら、通りのファッションを研究している。街中で見かけたおしゃれな人を撮影し、趣味などについて聞きながら、優れたショットを自分のウェブサイトに掲載している。ごく普通のファッションサイトだ。被写体のほとんどが70歳以上であることをのぞけば...。ロシアのお年寄りたちはどんなおしゃれを楽しんでいるのか。下の世代のファッショニスタも思わず参考にしたくなる10人を、ロシアNOWがガヴァル氏のウェブサイトから選んだ。

タチヤナ・ニコラエヴナさん(84)、物理学者、モスクワ 


 物理学の論文を40件ぐらい書いたわ。30人ぐらいに読んでもらえて、3人ぐらいに理解してもらえたら。あとはさまざまな編み物の雑誌に記事を100件以上書いている。

 この服は政治犯だった父を追悼するためにつくったもの。父がかつて収容されていた刑務所に2013年に行ったのだけど、道中でこれを手編みした。父はそれなりに知られた弁護士だったけど、1930年代終わりに告発された。ソ連政府に対する反対運動を主導しているという容疑がかかってね。

 

ヴィクトル・アファナシエヴィチさん(71)、芸術家・陶芸家、モスクワ

 ソ連時代はずいぶんと大作をつくったものだよ。結婚式場、文化会館、その他の施設の壁画などを描いていた。当時は芸術的な仕事が国家レベルで評価されていたから、それは良いお金をもらえた。私の陶器はロシア美術館に所蔵されている。

 

ネリーさん(73)、心理学者、オムスク

 年をとったら相応の格好しなきゃいけないなんて考えられているけど、そんな決まりごとはないの。あるなら誰かの頭の中にだけ。自分の好きなようにおしゃれしなきゃ。

 

リュボフィ・アントノヴナさん(76)、オムスク市芸術評議会元秘書、オムスク

 コートとバッグは孫娘の一人からもらったの。スニーカーは他の孫娘と一緒に選んだ。このスニーカーは3足目だけど、歩きやすくていいわね。最初のは白で、4年ぐらいはいてた。同年代の人にはこの靴の良さをわかってもらえなくてね、「あなたそれはいてるとボクサーみたいよ」なんて笑われるの。だからね、老いた足にはこれが一番楽なのよ、って教えてあげるの。

 

タマーラ・ドミトリエヴナさん(79)、技師・弁理士、オムスク

 アートサロンから帰るところなの。クロスステッチでつくった絵を手渡してきたところ。目は悪いけど、細かい作業が好きで、かぎ針や棒針で編み物をしているし、ビーズ細工にも挑戦するつもり。若いころはたくさんスキーをしていたし、いつもスポーティな恰好をしていたけれど、年齢とともにクラシックで厳格でエレガントな服を好むようになった。見た目に気をつけて、美しい身なりをして、髪型を整えることは、20歳でも80歳でも大切。

 

アリビナ・スタニスラヴォヴナさん(72)、女優、モスクワ

 いろいろな仕事をしてきたわ。紡績工、運転員、紡織工場の技師、その後はパン屋で働いた。60歳の時、地下鉄に乗っていたら、スカウトのアシスタントの目に止まって、オーディションに招かれた。こうやって映画「ルサルカ(人魚)」の老女役にも選ばれたの。私の計算では、これまで107役こなした。服をたくさん持っているから、撮影現場には自分の服を着て行くことが多い。監督には好評。監督から服をプレゼントしてもらうこともあるわ。

 

ヴァシリー・アンドレエヴィチさん(83)、公文書管理者、モスクワ


頭のてっぺんから足のつま先まですべてもらいもの。隣の家の人がくれるから、自分では何も買わないんだ。医者にはもっと動けといわれているけど、音楽があると動くのも楽しくなるから週3回公園のダンス場に通ってるよ。

 

イライダ・ヴァシリエヴナさん(79)、カール・マルクス工場無線機組立工、オムスク

 服を自分で買うことはめったになくて、子どもや孫からもらっているから、一部を故郷のコストロマ州の貧しい人に送るようにしてる。今の服って良いものばかりね。私が若かったころなんて、一張羅のワンピースででかけていたもの。水曜日と土曜日にそれを洗濯していたわ。

 

イリーナ・アンドレエヴナさん(76)、試験飛行便の乗務員、オムスク

 私は障がい者。あるできごとで両足を骨折して、3回も手術を受けた。医者はその時、松葉杖なしでは歩けないと言ったけれど、松葉杖も杖も使わずに歩いてるし、おまけにダンスまでしてるから、驚いてる。行かなきゃだめ、動かなきゃだめって、自分に言い聞かせてきたの。服をたくさん持ってるから、そこから選んで着ている。新しい服が必要だとは思わないわ。何かいる時はフリーマーケットや古着屋に行って買っている。

 

アンドレイ・ヴィクトロヴィチさん(72)、聖職者、モスクワ

 髪のことをよく聞かれるけど、これは染めているわけではないよ。この赤毛は遺伝なんだ。