「古典として読む『イワンの馬鹿』」

刊行:2012年9月
法橋和彦 著
未知谷 刊

 レフ・トルストイ研究の大家、法橋和彦氏が「イワンの馬鹿」を翻訳し、注解、解説を一冊に収めた新著。作品論であるにとどまらず、見事に総合的なトルストイ論でもある。

 悪魔たちが現代の巨大金融機関やヘッジファンドを思わせる「金融爆弾」と「一切を焼き尽くす火炎放射器」などのハイテク兵器を引っさげ、意気揚々とイワンの国に乗り込むと、一見、単純労働以外なにも知らぬ文字通りの「ばか」に見えるその住民たちは不可解な無抵抗主義のもと、鉄壁の結束を示し、超近代的な金融兵器と軍事力に打ち勝つ。

 あの精神そしてそれを支える生活は一体何なのか、というのが法橋氏の根本的な問題提起だ。「イワンの馬鹿」は断じて大人の童話などではなく、今なお予言性を秘めている。

 

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