薄手の秋物ジャケットを着たニシン

料理の達人、ジェニファー・エレメーワが、ニシンを楽しむための単純でおいしい方法をご紹介する。

 昨日私が朝食をご一緒した方は、素敵な、古風な意味で真の紳士だったが、そのような方にお目にかかることは最近めったにない。彼は私をイェール・クラブに招待してくれたが、それはいつも素敵な経験で、彼は着席時に私の椅子を引いてサポートしてくれた。その後、朝食に薫製ニシンを注文してもいいかと如才なく私に訊ねた。その臭いが少しでも苦手なら、同じようにおいしいコーンビーフのハッシュにするからと、彼はきわめて丁重に気を配ってくれたのだ。

 「そんな、とんでもない」と私は返答した。「それなら、私もそれにしましょう」

 熱い魚とスクランブルエッグを食べながら私たちは、ニシンについてはどうも妥協の余地がありそうにないことを指摘した。人々はそれが大好物で、いくらあっても満足しないくらいか、何が何でも回避し、ニシンとほのめかしただけでもわずかに身震いするかのどちらかだ。

 

二つに一つのニシン 

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魚の王様

 幸い私はニシンが大好物なので、いつでも好きなときにニシンをたらふく食べたいと思ったら、それが可能なふさわしい場所に住んでいる。それに「地元の食べ物」が今流行の合言葉になっているようだから、これはスラブと北欧の食事において重要なこの魚の新しい食べ方を探索するのにちょうどぴったりの機会だ。

 シェフになりすまして自分でニシンをゆでたりマリネしてもいいが、私のようにモスクワ在住なら、そんなことをしても意味がない。ロシアのスーパーマーケットに行けば、通路すべてがニシンづくしになっていて、魚が塩水の中でキラキラと光る瓶詰めのニシンや、サワークリーム入りのニシン、オイルにつけられたもの、燻製にされたニシンや、タマネギが添えられたニシンなど、選択肢は豊富だ。私は普通のマリネされたニシンを使い、さまざまな温かいサラダに入れていろいろろアイデアを試してみるのが好きなのだが、これは短い秋の日の夕食や、ゆっくりと食べる日曜日の昼食にぴったりなのだ。

 

毛皮のコートを着たニシン」に対抗して 

 自然界でのニシンのソウルメイトといったらジャガイモだろう。強い匂い、塩辛い味、そして魚の複雑な質感は、淡泊な食べ物と合わせてコントラストさせる必要がある。

 ジャガイモ、細かく切った卵、ピクルス、たくさんのマヨネーズと細切りチーズによって風味が高められたビーツとニシンという組み合わせは、ロシアの大晦日の「毛皮のコートを着たニシン」の目玉ともいえる存在ではあるもの、私はこの組み合わせが完璧な取り合わせだとは思わない。これが私の境界線だ。私はそれを好きになれない!毛皮のコートを着たニシンは複雑すぎて、あまりにも時間がかかりすぎる。マヨネーズは使いすぎだし、異なる風味が調和するどころか相殺してしまう中で、ニシンの味が消されてしまうのだ。

 そこで、「毛皮のコートを着たニシン」の代替品として、私は「薄手の秋物ジャケットを着たニシン」をご紹介する。

 これはみじん切り、角切りや陰鬱な紫色のマヨネーズを廃した、ニシンを楽しむための単純でおいしい方法だ。さわやかな10月の空気の中で、1杯のウォッカ、キンキンに冷えたビール、またはちょうどよく冷やした白ワインと共に屋外で楽しむのが理想的だ。サラダ野菜やボロディンスキーパンを少し加えれば、見事に簡単でおいしい食事に変身だ!

 

材料:

中サイズの赤ポテトあるいは新じゃがいも、8個

フルサイズの燻製ニシンの切り身(約300グラム)3~4切れ、または塩水入りニシン片1カップ半

ネギ4本、薄く輪切りにする。白い茎の部分と緑色の部分を切り分けておく

最高級のオリーブオイル、30 ml(大さじ2)

西洋ワサビ、15 ml(大さじ1)

45ミリリットルフレンチマスタード、できれば「昔風の」全粒マスタード、45 ml(大さじ3)

さらに最高級のオリーブオイル4分の1カップを手元に置いておく

ディルの小枝4~5本、果実を切り離しておく

レモン半個、皮をすりおろしてから搾る

レモン1個、付け合わせ用にくさび形にカットする

部分精製(タービネイド)砂糖、15 ml(大さじ1)

 

調理法: 

1. ジャガイモの皮をむき、切り面が楕円形になるように鋭い果物ナイフで切る。

2. 沸騰水の上に折りたたみ足式の万能蒸し器や水切りボールをのせて、12~14分間ジャガイモを蒸す。ジャガイモはまだしっかりしているが、鋭いナイフを簡単に挿入できるくらいまで火を通す。

3. ジャガイモが蒸されている間、マヨネーズ、西洋ワサビ、白ネギ、マスタード、砂糖、レモン汁、すりおろした皮と半分のディルを金属製の刃が付いたフードプロセッサー、ブレンダー、またはハンドヘルド式のプロセッサーの取り付けカップ部分に入れる。ある程度結合するまで律動的にプロセッサーにかける。その後モータが動作している間に、一滴ずつ程度のきわめて慎重なペースでオリーブオイルを注ぐ。これにより混合物が徐々に固化し、緩いマヨネーズ状になっていく。ソースは垂らすことができるようでなければいけないので、結合しすぎた場合は、希望の濃度になるまでもう少し油を追加する。

4. ジャガイモを蒸し器から出し、大さじ数杯分のドレッシングの上にこれらを出す。ジャガイモを覆い、室温まで冷却するまでカウンター上に置いておく。

5. ニシンとジャガイモを混ぜ、残りのドレッシングをかけ、サラダの配置を整える。ネギの緑色の部分と追加のディルをかける。これにコショウミルをたっぷり挽く。レモンの切れを添える。

 プリヤトノヴォ・アペティータ(おいしく召し上がれ)!

 

ジェニファー・エレメーワはモスクワ在住歴20年のアメリカ人作家。彼女はロシアの歴史、文化、ユーモアや食べ物に関する著作を www.jennifereremeeva.com で公開している。