隕石が住民の創作魂を刺激

チェリャビンスクの広告制作者アリベルト・ラスチャピンさんは最近、隕石落下をモチーフとした4メートルのトリプティクを完成させた。1年半前にチェリャビンスク州周辺に落下した隕石は、今もなおロシア人の創作魂を刺激し続けている。隕石観光によって地元の観光の魅力も増した。

 チェリャビンスク州上空で2013年2月15日、約20メートルの小惑星が爆発。隕石雨をもたらした。もっとも大きな破片はチェバルクリ湖に落下した。1908年のツングースカ大爆発以来、地球に落下したもっとも大きな天体だった。ウラル地方の住民は、空想をかき立てられ、「(近くの)カザフスタンじゃなくて、こっちに落下してくれて嬉しい!」と歓呼した。チェバルクリ市では隕石記念碑が建立され、エクストリーム・パークが開設された。この地域の紋章に隕石のイメージを採用する案もある。

 

トリプティク、ファンタジー映画、ツイッターのアカウント

 ラスチャピンさんのトリプティクに描かれているのは、隕石落下時のチェリャビンスクの住民。自身の知り合いも多数含まれている。割れた窓ガラスでケガした人を救助する人、携帯電話を持って様子を見ている人、半裸で家から飛び出てくる男性など。制作期間は約1年。仕事が終わった後、深夜までイーゼルの前で作業をしていた。

 モスクワの小さな映画スタジオ「SCアート」の関係者は今年、ファンタジー・スリラーの撮影を開始。この長編映画(予算は少なめ)で、隕石が落下した日の別のできごとを描いている。

モスクワの小さな映画スタジオ「SCアート」の関係者は今年、ファンタジー・スリラーの撮影を開始。この長編映画(予算は少なめ)で、隕石が落下した日の別のできごとを描いている。=ビデオ提供:SC-Art/YouTube.com

 隕石落下後に、ツイッター・アカウントをつくったユーザーもいた。「チェリャビンスクの隕石@Che_meteorit」は数時間後に作成されたもの。「私は壊れた。ウラル全域に落ちて、転がってるところ」と最初に書かれている。現在もツイートを続けており、フォロワーは1035人いる。

 チェリャビンスクのマトヴェイ・グレフツォフくん(14)は、隕石落下を世界的な代替電力問題のソリューションにした。このプロジェクトによって、国際コンテスト「グーグル・サイエンスフェア」で、「実用科学」賞の最終審査まで残ることができた。隕石が突入した際、大きな爆風(衝撃波)が街中の窓ガラスを破壊。グレフツォフくんはこの大きな圧力から電力を得る方法を考案した。

 

隕石観光はとくに日本人に人気

 商売人は落下後、「チェリャビンスクの隕石」、「ウラルの隕石」、「チェバルクリの隕石」、「不思議な隕石」などを商標登録。隕石のマークの入ったスイーツ、文房具、コーヒー、紅茶などが販売された。

 チェリャビンスクのある男性は、隕石のアロマ入りのパフュームを生産。地元政府はこのアイデアを支持し、香り”抽出”のためにと隕石もプレゼントした。人々のあらゆる変動を克服できる能力がイメージされるアロマで、包装箱には隕石が落下した湖が描かれている。

 落下した地域では観光業も盛んになった。チェバルクリ湖は以前、「オレンブルク・コサックの土地」として観光客をひきつけていたが、今や宇宙の土地に変わっている。「外国人の予約はさまざま。隕石が落下した場所の個人旅行から、定員48人の団体まで。特に関心を持っているのは日本人。ロシア人は今のところ、それほど観光に訪れようとはしていない」と、現地旅行代理店「アクベスト・トゥル」のマリーナ・アレクセエワ社長はロシア通信の取材に対して説明している。

 

「小惑星のインフラ」

 役人も活気づいた。チェリャビンスク州の行政は、隕石風のお土産をつくり、また「チェリャビンスクはロシアの隕石の首都」の商標登録申請をロシア特許庁に行った。

 研究者がたくさんの隕石を発見したチェバルクリ市では、隕石ブランディング委員会も創設された。元ビジネスマンのアンドレイ・オルロフ・チェバルクリ市長は、隕石落下の5日後に自身のブログにこう書いていた。

 「この幸福を台無しにしないよう、すべてを正しく行わなければ。市の周辺には数十ヶ所のサナトリウムがあるから、来訪者を隕石落下地点に案内できる。何かアイデアはあるかな?最優秀賞には隕石を贈れるよ!」

 オルロフ市長はその後、チェバルクリ湖の氷面の穴から潜水した。