「宇宙のドライバー」=ロシア通信撮影
オドエフスキー
ロシア人作家はいつも幻想的な世界を創作してきた。ウラジーミル・オドエフスキーはSFのジャンルができる以前の作家の一人。1825年作の短編小説「地球上の生活における2日間」は宇宙規模の災害を想定した。
ザミャーチン
その1世紀後、エフゲニー・ザミャーチンは小説「われら」でディストピア(暗黒郷)の世界を描く伝統の基盤を確立し、ジョージ・オーウェルの「1984年」のモデルとなった。
ソローキン
ソ連崩壊後、ウラジーミル・ソローキンの「オプリーチニキの日」などディストピア小説が次々に創作された。 イワン雷帝の親衛隊オプリーチニキは皇帝の「敵」をレイプしたり、2028年の「新時代のロシア」でポルノを見ながらくつろぐ。 ソローキンはロシア語の古語的表現やスラング、歌や韻律を用いた。
ペレービン
ビクトル・ペレービンはファンタジーを風刺に用いる。 「歌う女像柱の広間」では、裸で立って何時間も歌うことを強要され、若きレーナに秘密の液体が注射される。彼女は高級地下ナイトクラブを飾る装飾柱と化す。
ペレービンの最初の小説「オモン・ラ」(1992年)で、主人公は宇宙飛行士になり、月面着陸ごっこを演じさせられ、遺棄された地下トンネルに「着陸」したことに気づく。彼の作品の主人公たちは真実を知らされない犠牲者で、暗闇に残されたままである。
ルキャネンコ
セルゲイ・ルキャネンコの「ナイト・ウォッチ」第1作(1998年)はベストセラーになった。主人公ゴロデツキーは「闇の異人」の活動を監視する。文中でドストエフスキーからピーターパンまでさまざまに言及される。小説は映画化され国際的なヒットとなった。
フライ
現実逃避型ファンタジーの人気シリーズ「エコーの迷宮」。 語り手の太ったひょうきんな主人公は「鏡の国のアリス」のような「エコー」の世界で調査官になる。 著者マックス・フライの本名はスベトラーナ・マルティンチク。リトアニア在住のロシア人作家だ。ハリー・ポッター風に見えつつ、陽気な冒険談に独特の雰囲気が漂う。
グルホフスキー
一方、ドミトリー・グルホフスキーのディストピア小説「メトロ2033」では、銃撃戦に顔なしの敵が登場し、一大コンピューターゲームを演じる。
舞台は世界終末後のモスクワ地下鉄の駅構内。 作品には、すぐに人生を「最初からやり直し」できないことが暗示され、哲学的要素も含む。
異才の作家たちは読者を世界滅亡や可能性の最先端、さらにその先まで導いてくれる。
①ウエットスーツ
アレクサンドル・ベリャーエフは1928年、長編小説「両棲(りょうせい)人間」を出版した。主人公は子供時代にサメのえらを移植された青年。薄く体にはりつくスーツ、足ヒレ、手袋、レンズの厚い眼鏡を使い、海の中で長い時間を過ごす。 現代のウェットスーツは1950年代に米国で登場した。
②電子新聞
電子新聞を読むガジェットについては、ソ連のSF作家キル・ブルイチョフが1978年に書いた。中編小説「100年後」にはスマートフォンやタブレットに似た装置が出てくる。装置の名称は新聞だ。黒い箱の側面を押すと、多色の画面が表れ、月の祭典や国連に関するニュースが表示された。
③メディア図書館
すっかり慣れた動画やオーディオブックは、アレクセイ・トルストイが1923年に書いた長編小説「アエリータ」の主人公にとって、驚きの発見だった。地球人2人が火星の崩壊した街で図書館に入る。そこで、動画放映中のテレビ画面を見る。主人公はメモリーカードに似た物や音楽の流れる本を見つける。
④ホログラム(立体写真)
イワン・エフレーモフは1945年に出版された短編小説「過去の幻影」の中で、ホログラムの現象を描いた。その2年後、デーネシュ・ガーボルはホログラムを発見する。ガーボルはホ ログラフィー技術を1971年に発明し、これ によってノーベル賞を受賞した。
⑤石油食品
エフゲーニイ・ザミャーチンは1920年出版の長編小説「われら」で、人類が石油製品を発明し、飢餓を解決したと書いた。人種、名前、ファッション、個人生活のない世界で、石油精製からできる食品が人々に与えられる。50年代から石油の微生物合成がたんぱく質、ビタミン、抗生物質の生産に応用された。
⑥原子力エネルギー
アレクサンドル・ボグダーノフは1908年出版の長編小説「赤い星」で惑星間原子力装置を描いた。火星のエテルネフ(宇宙の媒体エーテルを旅する船)はアルミとガラスの卵の上で、秒速50キロまで速度が上昇する。放射線物質の元素がエンジンの中で分解し、エネルギーを出す仕組みだった。
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