作者を魅了した街

ダリア・ドニナ

ダリア・ドニナ

1838年に黒海に臨むロシア帝国の南の要塞(ようさい)として建設されたソチは、保養地として脚光を浴びるようになる20世紀になってようやくロシア文学に登場する。1928年に家族とカフカス(コーカサス)を訪れたボリス・パステルナークの詩には保養地ソチが現れる。ソ連時代の作家たちはソチで美しい自然と温暖な気候を満喫しながら休息し、自身の作品でソチやその周辺に触れていた。ソチは観光都市の輝きだけでなく、ロシアの文学や映像芸術の世界に多彩な光を放つ地だった。

「コーカサスの女虜」

監督:レオニード・ガイダイ
製作年:1966年
人気キャラクター、シューリクが主人公となる映画の2本目。検閲に何度もシナリオ書き直しを求められた。ブレジネフ書記長がじきじきに見た上で、公開が決定された。ヒロインのニーナが谷川に流されたシューリクを救う場面などはソチのアドレル地区で撮影された。

 ノーベル文学賞受賞者ヨシフ・ブロツキーはアリベルト・フロロ」という詩でチをこう描い

 「1月2日、静まり返った夜、/私の船はソチで纜(ともづな)解いたのど渇いていた。私はあてもなく歩き始めた港から中心へと続く/横町を、そして、夜も更けて/「カスカード(滝)」というレストランを見つけた」

 ソチの中心にあるレストランカスカード・プレスチージ」ブロツキーのファン聖地なった。

 別のノーベル文学賞受賞者イワン・ブーニンの短編説「カフカス」にもソチ情景が描写された。

 主人公はチ近郊の「山岳のジャングル、トロピカルな海辺」に住み、情事日々過ごした。

「鋼鉄はいかに鍛えられたか」

これまでに3度映画化されている(マルク・ドンスコイ監督=1942年、アレクサンドル・アロフ監督他=1956年、ニコライ・マシチェンコ監督=1975年)。
主人公コルチャーギンがいかに革命家になっていくかというオストロフスキーの自伝的な作品。作家が移り住んでいた通りはオストロフスキー通りと改名され、彼の記念博物館がある。日本語訳は杉本良吉と稲田定雄が行った。

 ソチで創作された作品最も有名なのは、ニコライ・オストロフスキーの長編説「鋼鉄はいかに鍛えられたか」だろう。

 重い多発性関節炎に苦しん家はチで治療を受け「類まれな美しさ」に魅せられり住んだ

 ソチでたきり力をいつつあった彼は1930年、ストセラーとなる自伝的長編執筆を開始する。

 その登場人物や形象はマンチックな革命的・社会主義的理想された。チを含む数々ロシアの都市の通りに、主人公パーベルコルチャーギンの名がつけられた。

 この小説は時代に幾度映画化され、2000年に国の映画人たちが製作たシリーズが国で放映された。

 劇作家で童話作家のエフゲニー・シツもチで名な戯曲「普通の奇跡」を書いている。奇跡をいた(ぐうわ)で、ソ連時代に映画化され

 魔法使いがクマを若者に変えたが、若者がクマに戻れるのは美しい王女に愛されるけ。しかし、クマはしい王女に会ずっと間でいることを願う。

「ダイアモンド・アーム」

監督:レオニード・ガイダイ
製作年:1968年
ソ連映画の古典。観客動員数でソ連史上3位。ソチとバクーで撮影された。冒頭に出てくるのはソチ港で、ここから主人公がイスタンブールに旅立つ設定になっている。現在、この港には、主人公セミョン・ゴルブンコフらの銅像が立っている。

 演出家ルク・ザハーロフによる78年版映画大当たりした。

 レオニード・ガイダ監督のソ連時代の人気喜劇にもソチ描かれている。

 68製作ダイアモンド・アーム」は輸に手を染める哀れな山師たちの心温まる物語。66製作コーカサスの女虜」は花嫁誘拐いうストーリー薄とみなされて一旦映禁止になった

 上再開を許可したのは、この映画がお気に入りだったオニード・ブレジネフ(共産党書記長)ったという。

 「ホターブィチ翁」(56)や「気をつけて、亀がいるよ!」(69)といった子供向け画にもチが出てくる。

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