ダリア・ドニナ
監督:レオニード・ガイダイ
製作年:1966年
人気キャラクター、シューリクが主人公となる映画の2本目。検閲に何度もシナリオ書き直しを求められた。ブレジネフ書記長がじきじきに見た上で、公開が決定された。ヒロインのニーナが谷川に流されたシューリクを救う場面などはソチのアドレル地区で撮影された。
ノーベル文学賞受賞者ヨシフ・ブロツキーは「アリベルト・フロロフ」という詩でソチをこう描いた。
「1月2日、静まり返った夜、/私の船はソチで纜(ともづな)を解いた。/のどが渇いていた。私はあてもなく歩き始めた/港から中心へと続く/横町を、そして、夜も更けて/「カスカード(滝)」というレストランを見つけた」
ソチの中心にあるレストラン「カスカード・プレスチージ」は、ブロツキーのファンの聖地になった。
別のノーベル文学賞受賞者イワン・ブーニンの短編小説「カフカス」にもソチの情景が描写された。
主人公はソチ近郊の「山岳のジャングル、トロピカルな海辺」に住み、情事の日々を過ごした。
これまでに3度映画化されている(マルク・ドンスコイ監督=1942年、アレクサンドル・アロフ監督他=1956年、ニコライ・マシチェンコ監督=1975年)。
主人公コルチャーギンがいかに革命家になっていくかというオストロフスキーの自伝的な作品。作家が移り住んでいた通りはオストロフスキー通りと改名され、彼の記念博物館がある。日本語訳は杉本良吉と稲田定雄が行った。
ソチで創作された作品で最も有名なのは、ニコライ・オストロフスキーの長編小説「鋼鉄はいかに鍛えられたか」だろう。
重い多発性関節炎に苦しんだ作家はソチで治療を受け、当地の「類いまれな美しさ」に魅せられて移り住んだ。
ソチで寝たきりになり、頭部負傷で視力を失いつつあった彼は1930年、ベストセラーとなる自伝的長編の執筆を開始する。
その登場人物や形象はロマンチックな革命的・社会主義的理想とされた。ソチを含む数々のロシアの都市の通りには、主人公パーベル・コルチャーギンの名がつけられた。
この小説はソ連時代に幾度か映画化され、2000年には中国の映画人たちが製作したシリーズが中国で放映された。
劇作家で童話作家のエフゲニー・シバルツもソチで有名な戯曲「普通の奇跡」を書いている。愛の奇跡を描いた寓話(ぐうわ)で、ソ連時代に2度映画化された。
魔法使いがクマを若者に変えたが、若者がクマに戻れるのは美しい王女に愛される時だけ。しかし、クマは美しい王女に会い、ずっと人間でいることを願う。
監督:レオニード・ガイダイ
製作年:1968年
ソ連映画の古典。観客動員数でソ連史上3位。ソチとバクーで撮影された。冒頭に出てくるのはソチ港で、ここから主人公がイスタンブールに旅立つ設定になっている。現在、この港には、主人公セミョン・ゴルブンコフらの銅像が立っている。
演出家マルク・ザハーロフによる78年版映画は大当たりした。
レオニード・ガイダイ監督のソ連時代の人気喜劇にも、ソチが描かれている。
68年製作の「ダイアモンド・アーム」は密輸に手を染める哀れな山師たちの心温まる物語。66年製作「コーカサスの女虜」は花嫁誘拐というストーリーが軽薄とみなされて一旦上映禁止になった。
上映再開を許可したのは、この映画がお気に入りだったレオニード・ブレジネフ(共産党書記長)だったという。
「ホターブィチ翁」(56年)や「気をつけて、亀がいるよ!」(69年)といった子供向け映画にもソチが出てくる。
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