「チャンピオンのための音楽」

ソチ五輪開幕前日にあたる2月6日、ソチで、ロシアを代表する音楽家の一人ユーリー・バシュメットが芸術監督をつとめる国際芸術フェスティバルがスタートする=ロシア通信撮影

ソチ五輪開幕前日にあたる2月6日、ソチで、ロシアを代表する音楽家の一人ユーリー・バシュメットが芸術監督をつとめる国際芸術フェスティバルがスタートする=ロシア通信撮影

冬季オリンピック開幕前日にあたる2月6日、ソチで、ロシアを代表する音楽家の一人ユーリー・バシュメットが芸術監督をつとめる国際芸術フェスティバルがスタートする。世界的に有名なヴィオラ奏者で指揮者のバシュメットが、この芸術の祭典について語ってくれた。

―今年のソチでのフェスティバルは、オリンピックと重なりましたね。 

 オリンピックでは私たちはできる限りのものをお見せしています。まず第一にスポーツとそれに関するものです。スポーツに限らず、盛大なイベントは、磁石のように、関心や感情などを惹きつけます。国の権威については言うまでもなく、国は、できる限りのものを見せようとします。この意味で、私たちの毎年恒例のフェスティバルは、オリンピックの文化プログラムの力強いコンテンツとなるでしょう。チャイコフスキーの歌劇とプーシキンの韻文小説が融合する手の込んだ「エフゲニー・オネーギン」が上演され、それには歌手のほかに舞台俳優も出演します。プラグラムには、ピアニストのデニス・マツーエフやヴォーカリストのニノ・カタマーゼが参加し、すてきな芝居「シュクシーン物語」にはエフゲニー・ミローノフやチュルパン・ハマートワといった有名どころが出演します。ロシアの芸術の粋をぜひご覧いただきたいと思います。

 また、国外からも、ソプラノ歌手のバルバラ・フリットリ(イタリア)、テノール歌手のイアン・ボストリッジ(イギリス)、ピアノ奏者のファジル・サイ(トルコ)やオッリ・ムストネン(フィンランド)、世界的に有名なジャズミュージシャンのブライアン・リンチ(米国)といった、一流アーチストがやってきて、バスバリトン歌手のアーヴィン・シュロット(ウルグアイ)のコンサートも催されます。見逃せないイベントが目白押しで、宮廷太鼓楽団(韓国)やアレクサンドロフ・アンサンブルやサックス奏者のイーゴリ・ブートマン(ロシア)が公演し、室内楽の夕べも催されます。

 今年のフェスティバルは、三つの会場で行われる予定で、冬の劇場とオルガン・ホールのほかに、クラースナヤ・ポリャーナにある完成したばかりのホール「ガラクチカ(銀河)」でも、演奏会が催されます。私たちは、成長し、幅を広げつつあるのです。

 

―数年前、あなたは、ソチオリンピックの開催中に演奏を行うための全ロシア・ユースオーケストラを特別に編成しはじめましたね。 

 ええ、それは、オリンピックのイベントに参加します、最高のものをお見せするというのなら、巨匠ばかりでなく、私たちの未来を担う若き才能も紹介すべきでしょう。私たちは、ロシア各地で選考会を実施し、その結果、ほぼ全国といえる32の地域のとてもエネルギッシュで才能溢れる子供たちが選抜されました。

 

―秋には、教育センターというもう一つの青少年プロジェクトを立ち上げられましたね。 

 先日、私は、カザン音楽院のルビン・アブドゥーリン院長にお会いしましたが、院長は、私たちのセンターがカザンで大きな成果をあげていると話していました。このあいだ、エカテリンブルグを訪れましたが、そこでは、16人のフルート奏者が、イギリスから教えにきた先生の指導のもとでコンサート・プログラムを編成し、会場は、まさに満員札止めの状態でした。

 一年間、私たちは、エカテリンブルグ、ノヴォシビルスク、ロストフ・ナ・ドヌー、カザンで、特別の10年制学校をベースに長期にわたるマスタークラスを行っており、外国人を含む教師や一流のソリストたちが、ロシアの若き音楽家を教えにやってきています。

 プログラムには、地元の教師および州や市の行政府の職員も参加しています。文化省が私たちを支援してくれることになったのは、実に有り難かったですね。その支援がなかったなら、プログラムの実施は事実上不可能だったでしょう。というのも、子供たちのレッスンは一切無料なのですから。

 

―ソ連のシステムへ戻りつつあるみたいですね。 

 私たちは、世界的なコンクールで優勝するような逸材をどのように育てるべきかを知っていました。全ソ連コンクールで優勝した音楽家は、チャイコフスキー・コンクールへの参加が認められました。育成の過程で、彼らは、セレーブリャンヌイ・ボールに寝泊まりし、散歩をし、食事を提供され、教師たちが彼らのもとへやってくるのでした。まるで、スポーツの合宿のようです。そして、国家コレクションからストラディヴァリウスやグァルネリのヴァイオリンが彼らに貸与されるのでした。

 実際にコンクールのレベルを高くするには、何よりも十分な準備が必要です。スポーツ選手にも、まったく同じことが言えます。彼らが感じるべきなのは、責任の重荷ではなく、自分ができる限りのことをするという心の内なる声でしょう。彼らは、民族愛を自身に感じ、それが、羽撃く翼を与えるのです。私たちは、結果を予見することは叶いませんが、最大限のことをすることはできるのです。

 

元記事(露語)

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