ロシア人のボディ・ケア

モデル希望者は女性が圧倒的に多い=PhotoXPress撮影

モデル希望者は女性が圧倒的に多い=PhotoXPress撮影

芸術家のピョートル・パヴレンスキー氏が11月10日、赤の広場の舗石に自身の陰のうを釘で打ちつける抗議パフォーマンスを行い、ロシア社会で大きな反響があった。その政治的信条よりも、体の損傷が衝撃を与えた。さて、ロシア人はやたらと強く、あまり自分の体のことを気にしないと考えられてきたが、本当のところはどうなのだろうか。

ドミトリー・ゴレルィシェフ、芸術監督、「即席画サークル」講師

 即席画サークルが立ちあがってから、100人ほどの人がモデルになり、35人ほどが定期的に参加している。肌の浅黒い青年やコロンビア人など、さまざまな年齢、体型、職業、民族のモデルを見てきたが、自分の体に対する姿勢については、外国人とロシア人の間に大差はない。新しい活動で自分を試したい、創作 に参加したい、自分がどのように描かれるかを見てみたいという人ばかり。

 モデル希望者は女性が圧倒的に多い。男性よりも注目されることを好むため。若い男性は恥ずかしがってそれほど来ないが、来る人は女性よりも太っている傾向がある。若い男性が女性よりも描かれた自分の絵を注意深く見ることは、興味深い。

 

パーヴェル・エヴドキメンコ、リウマチ専門医

 私のところに来る患者はさまざま。ちょっとしたことでも病気だと考えて体の調子を整えようとする人も多いし、まったく自分の健康を気にしない人もいる。外国人の中にも自分の健康をないがしろにする人はとても多い。

 

アレクサンドル・グリゴレフスキー、舞踊講師

 ロシアの女性はヨーロッパやアメリカの女性よりも、自分の外見を入念に管理している。ロシアの女性が体型や服装に注意を払っていないというのは、単なる噂にすぎない。フィットネス・クラブ、舞踊学校、ビューティー・サロンが増えているのがその証拠。

 ただ誰もが現代の生活の活力低下を訴えている。たるんでひょろひょろしているのは、あまり歩かなくなり、パソコンの前でじっとしている時間が長すぎるから。誰かに指摘されないと、人はなかなか自分に注意をむけない。

 

マリヤ・ズブィトワ、写真家

 ロシア人は両極端。自分の体をないがしろにして、まったく気にしないか、限りなく自分の体を美しくし、飾り立てて、「クリスマス・ツリー」に変えてしまうかのどちらか。こういう常識外れなことがよく起こる。

 ロシア人女性は例えば、ヒールの高い靴をこよなく愛する。自分と自分の体に気を使うことは、魅力的に見えたいという願望でもある。ロシア人男性は逆で、自分の体をケアするのは、男のやることじゃないという人が多い。シャワーを浴びて、きれいなTシャツを着て終わり。

 どちらにしても、自分への自信が増すわけではなく、多くの人が自分は写真写りが悪いと考え、写真撮影を嫌がる。

 

イリーナ・コレスニコワ、写真芸術家

 自分の体への接し方はさまざま。ただ女性は美しければ美しいほどコンプレックスが強くなるという、興味深い法則がある。もっとも美しい人々は、撮影の場面でもっとも気難しい人々。完璧主義の部分が大半を占めている。体の美しさは人間の内面に大きく依存している。

 ヌード撮影には治療効果があって、自分の美しさにしばらくひたった後に、自分の人生を変える人もいれば、1週間たつと忘れる人もいる。撮影のモデルにな る理由はそれぞれだけど、自分を美しいと感じたい、コンプレックスから解放されたいという人が多く、また自分の虚栄心を満足させたい人もいる。

 ヨーロッパで今夏マスター・クラス(教室)を開催して思ったのは、外国人とロシア人はそれほど違わないということ。

 

エゴール・クルデッロ、監督、ファッション写真家

 仕事で女性を裸にし、体を見て、どのような作品にするかを考えなければいけないことが多々ある。3年ほど前は、ヌードが流行し、娯楽の一種ととらえられ ていたが、今はロシアでもヨーロッパでも状況が変わっている。今は悪いこと、恥ずかしいことになってしまった。ただ雑誌の表紙になる、あるいはそれで多額の報酬を受けることは成功の証。男女にかかわらず、体はビジネスやマニピュレーションの対象となりつつある。

 ロシアとヨーロッパの女性の違いについて話すなら、ロシア人女性の体はよりケアされていると言える。ロシア人女性はバッグの半分を占領するほどたくさん のボディ・ケア用品を持参する。ヨーロッパ人女性にこのような習慣はない。私の元にスペイン人女性が下着姿の撮影に来たとき、ケアするよう要望したことが何度もある。