ロシアの季節がやって来る

ロシアでは、秋から冬へと移り変わる時期は辛い=ロイター通信撮影

ロシアでは、秋から冬へと移り変わる時期は辛い=ロイター通信撮影

ロシアでは、6ヶ月にも及ぶ長い冬が来ると考えると、秋から冬へと移り変わる時期は辛い。

 本来、冬は11月下旬もしくは12月から始まるが、秋でも氷点下の気温や凍りつく冷たい風に晒されると、冬でなくとも辛いことに変わりない。ロシア人にとって最も厳しい時期は10月中旬から冬が始まるまでの時期だ。鳥は既に南へ渡り、動物は冬眠を始め、収穫やキノコ狩りも終わり、ダーチャからは人がいなくなる。木々の葉は落ち、暗い曇り空は毎日をどんよりとしたものにする。

 

一番辛い冬直前 

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ロシアの冬

 この時期ロシアではやる気を保つのが大変だ。暖かかった季節は過ぎ、春の訪れは6ヶ月以上先の事である。楽しいお正月も遠い彼方にあるような気がす る。ロシアではジョギングやサイクリングができるのはこの頃迄で、そろそろスニーカーや自転車を数ヶ月しまい込まなければならない。

 ロシアの極東ではこの季節が嫌で、タイなどの遠い所へ旅行に出かける人が多い。各自治体の行政はなかなか暖房をつけないので建物の中も寒い。南国の島へちょっと 行って来るにはこの時期が最適だろう。このように南国に逃避できるリッチな人が戻ってきた頃には、暖房がついており、どこでも暖かい。

 雪は美しく、ロシアの見事な地形を変身させるが、多くの人々は初雪がなかなか来ない事を願う。雪自体が問題なのではなく、ただ単に雪が降ると、寒く、日が 暮れるのが早い日々が来たという実感が湧いてしまうからである。秋の風は堪え難い程冷たく、実際、雪が降り始める頃の方が暖かく感じる。

 

息を呑む初雪の美しさ 

 初雪は息を飲む程美しい光景である。新雪には純潔さがあり、積もるとその美しさを本当に楽しむことができる。子供達が初雪で遊ぶ姿程楽しげなものはない。

 雪が落ち着くと、歩道で滑ったり転んだり、恒例のお楽しみが始まる。モスクワのような都市では、薬品で除雪が行なわれる。冬の“冒険”をするには、雪が多く、 市が除雪に精を出さない場所を見つけ出さなければならない。「除雪なんかしたって、またすぐに吹雪いて歩道が歩けなくなる」。こういう考え方故に、ロシアの 街での冬の散歩はスリル満点だ。

 

春の来ない冬はない 

 11月の最初の週までに本格的な冬が始まっても、屋外スケートやスキーなどにはまだ時期が早い。博物館、美術館や図書館に行くにも良い時期である。コンサート、観劇、バレエやオペラもシーズンが開幕し、娯楽には事欠かない。このようなイベントが多いと、厳しいこの時期も我慢ができる。気づけば時間が経つのが速くなり、いつの間にか12月、そしてお正月休みがもうすぐそこに来ている。

 人生の多くの事と同様、ロシア人は哲学的な見方で長い冬を捉え、もうすぐ夏が来ると信じ、この寒い6ヶ月間の良い事も悪い事も全てひっくるめて、難なく乗り越える事ができる。