刊行:2013年6月
田中克彦 著
シベリア=広大、極寒の地―日本人のイメージは普通その程度である。
ところが、かつてこの地を国内植民地と見なし、独立運動があったと聞けば驚かざるを得ない。一体誰が、なぜその運動を始めたのか。本書を読み進めるや、我々のイメージは一変され、シベリアについて何も知らなかったことに気づかされるだろう。
運動自体はあっけなくつぶされるが、青年たちの独立への夢は別の形で継承された。例えば、本書の主役ポターニンのシベリア研究は、この地を独立した研究地域として認識させた。また連邦制への夢は今日のロシアまでついえることなく受け継がれているという。同著者訳のメンヒェン・ヘルフェン『トゥバ紀行』(岩波文庫)とあわせて読むと、また興味深い。
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