トンボユニオンズ(1955年)の投手陣。 左から、スタルヒン、野村、武末、滝。
「今も生きている英雄」
映画化を企画したのは、モスクワの広告会社に勤めるアンドレイ・クリモフさん(37)で、製作の動機について、こう説明する。
「ロシアでは、ソ連時代に対立していた米国の“国技”である野球は人気がなく、スタルヒンもほとんど知られていないのが現状です。今も生きている英雄として、彼のことを取り上げたかった」。
クリモフさんと米国の映画監督チャブダル・ゲオルギエフさん(ウクライナ出身)ら撮影班は、10月18日に来日して、撮影を始める予定だ。
長女のナターシャさん:「感無量です」
撮影班は、スタルヒンの長女で東京在住のナターシャさん(62)らゆかりの人をインタビューした後、米国に渡り、アリゾナ州在住の次女エリザベスさん(60)にも会う。
ナターシャさんは映画化について、「改めて父の偉大さを実感しました。革命で祖国を棄てざるを得なかった父ですが、ロシアをはじめ多くの国に知ってもらえるのは感無量です」と話した。
不滅の大記録
スタルヒンは、ウラル地方ニジニータギル生まれ。1917年のロシア革命後、25年に家族で日本に亡命し、旭川で育つ。外国人初のプロ野球選手として巨人軍に入団し、史上初の300勝を達成した。プロ入り3年、165試合で100勝到達、シーズン42勝など、現在まで破られていない記録もある。「須田博」の日本名で知られ、旭川にはスタルヒンの名を冠した野球場もある。
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