「日本の若者にはウラジオがある」

ウラジオストクのバンド「ムミー・トローリ」のリーダー、イリヤ・ラグテンコ氏 =アリナ・プラトノワ撮影

ウラジオストクのバンド「ムミー・トローリ」のリーダー、イリヤ・ラグテンコ氏 =アリナ・プラトノワ撮影

ウラジオストクのバンド「ムミー・トローリ」のリーダー、イリヤ・ラグテンコ氏が、22~25日に行われる国際音楽祭「ウラジオストク・ロックス(V-ROX)」やアジアの音楽業界について語った。ムミー・トローリは7月、帆船「セドフ」号での世界の旅を終えてロシアに戻り、すぐに新しいアルバムの発表とV-ROXの開催という、2件のプロジェクトの実現に向けて動いた。どちらももうすぐだ。

V-ROXは今年開催される他のロシアの音楽フェスティバルとどう違うのですか。

 根本が異なっています。いつも頭の中にあったのはグラストンベリー・フェスティバルのモデルです。数万人の観客を集め、入場券を販売し、有名なアーティストを招待するために行われているのは変わりませんが。グラストンベリーは大きなコンサートです。

 私のアイデアは、ウラジオストクで地元のフェスティバルを開催し、それを環太平洋地域と連結させるというもので、いつも頭の中にありました。このような フェスティバルを開催しようとしたのは1990年代のことです。今やウラジオストクは大きく変化しており、有名な橋を例にあげてみても、街のインフラが根 本から変わっていることをご理解いただけるでしょう。

 整った空港もありますし、東京、ソウル、北京、香港との航空路線もあります。飛行機で東京まで1時間、ソウルと北京まで2時間ですから、モスクワからサン クトペテルブルクやエカテリンブルクに飛ぶのと同じような感覚ですよ。現在はビザの緩和についても話が進んでいます。

 韓国と中国の経済発展については、説明するまでもありません。世界の工場としての成功が、これらの国のインディーズを含むポップス業界にも波及しまし た。10年前には見られなかったことです。大量の韓国製プラズマテレビがロシアに輸入されているように、体系的な取り組みによって、韓国の音楽もたくさん 輸入されるようになるでしょう。この新しい韓国ポップスは、一大産業に変貌しました。数年後にはモスクワのオリンピック・スタジアムで、韓国ポップスのスターのコンサートが開催されるようになるでしょう。そしてアメリカやイギリスでもすでに起こっているように、ポップスに続いて韓国ハードコア、韓国プログ レッシブ・ロック、韓国パンクロックの波も押し寄せてきます。このようなミュージシャンには韓国で大きなバックアップがありますし、サイ(PSY)の成功 をきっかけに、世界中の音楽産業が韓国に注目しています。

 

-中国はどうでしょうか。

 3年前に中国に行った時は、演奏できるようなロッククラブがありませんでした。カラオケ店で演奏したんです。でも今は会場があります。中国のステージもありますし、1万人以上が訪れる中国のフェスティバルもあります。中国のステージはロシアのステージと似たような状況にあります。

 

-つまりこのようなアーティストはロシアに来るし、V-ROXはその状況をうまく活用して、波に乗る手段だということでしょうか。

 ロシアに来るでしょうし、中国やタイに旅行するロシア人も、現地の音楽に少しずつなじんでいくでしょう。

 西側のプロモーターは現在、人や資金がそろっているロシアやアジアの市場を目指しています。このような関心の高まりを無視するのはもったいないです。最近の新し い西側のグループはまず、アジアのプロモーターのところに行きますし、そのうちの多くが実費で行っているのです。そのようなグループに、ウラジオストクと いうもう1つのプラットフォームを与えるのは自然なことです。

 また、日本の若者にとって、日本のフェスティバルは高すぎることがあります。アメリカのプロモーター、ライブ・ネイションの知り合いなどがそのような話 をします。日本国内よりも、韓国や台湾に行く方が安くて本格的なのです。だったら近くにウラジオストクがあるじゃないですか!飛行機じゃなくても船でも来 れますし!

 V-ROXに10万人のロシア人が来る日が訪れるかどうかわかりませんが、1~2万人の外国人が来たら、それだけで意義があります。

 極東連邦大学の元学長でもある、ウラジーミル・ミクルシェフスキー沿海地方知事とも話をしました。想像してみてください。極東連邦大学に外国人が留学し ているという話題が出て、そこで私は疑問に思うのです。何のために来るのか。ウラジオストク市は16~17歳の若者を何で魅了しようとしたのか。1990 年代には日本車ほしさにピストルで銃撃するのが割と普通だったという歴史なのか。カジノ特区か。ウラジオストクを第二のマカオにするのもいいけれど、マ カオの大学について聞いたことはあるのかと。

 ウラジオストクでは文化的環境をつくることが必要なのです。すでに芽を出している多くの文化から選ぶのです。これは一般の人が入れないようなスポンサー の映画祭であってはいけません。ウラジオストクは理論上、何で多くの人を呼び寄せられるのでしょうか。ウラジオストクには楽しい夏とビーチがあり、ロシア で唯一サーフィンができる街です。これは科学的に証明されています。ですがロシアをカリフォルニアに変えるには、活動を要するのです。

 

V-ROXは入場料が無料なのですか。

 はい。というのも入場券の販売は行政がからんでくるので、準備ができていないのです。ウラジオストクの行政は、市内のプラットフォームに関連する問題を解決する用意があると言っています。

 

元記事(露語)

このウェブサイトはクッキーを使用している。詳細は こちらを クリックしてください。

クッキーを受け入れる