モスクワ国際映画祭で「さよなら渓谷」上映

大森 立嗣(おおもり たつし)監督とヒロイン里美を演じた真木よう子さん =Press Photo撮影

大森 立嗣(おおもり たつし)監督とヒロイン里美を演じた真木よう子さん =Press Photo撮影

第35回モスクワ国際映画祭のコンペティション部門に出品された日本映画「さよなら渓谷」が、6月28日夜に上映される。

 幼い男児の遺体が見つかり、その母親・立花里美が殺害容疑で逮捕される。警察の事情聴取で、里美が隣人の尾崎俊介と肉体関係があったと、俊介の内縁の妻・かなこが証言する。記者の渡辺一彦は、事件を取材するうちに、俊介が15年前に、集団レイプ事件に加害者として加わっていたが、被害者はその後忽然と姿を消していたことを知る――。

 

「演じて極限状況に追い込まれた」 

 「主人公を演じた私には、とても過酷でした。特に、彼女の人生の中で最も不幸な時期を演じる時は、本当に私自身“浸食”されてしまうぐらい、それぐらいの精神状態まで追いつめられて、複雑でした。でもチーム・ワークは良かったので、一緒に乗り越えられました」。ヒロイン里美を演じた真木よう子さんはこう語った。

 恋人の俊介を演じた大西信満さんも、役になり切って主人公の味わった感情を追体験するのがすごく難しかったと言う。

 

失って初めて見えてくるもの 

 「監督の私も、場面場面で苦しい思いをしました。俳優さんたちの演技に統一されたスタイルは求めなかったのですが、皆がそれぞれの役を本当に“生きて”ほしかったのです。二人の男女の主人公は、純粋な愛とは何であるのかを知るために、一緒にああした体験を味わわねばなりませんでした。二人がそれを悟ったとき初めて、一から、白紙の状態からやり直す可能性が生まれたのです。まさにそのために、彼らは、ある期間をともに過ごし、ともに苦しまねばならなかったのです」。

 大森 立嗣(おおもり たつし)監督はこう説明する。

 「海外で特に、ここを見ていただきたいということは、主人公は、この事件をきっかけに、社会の外に行ってしまうんですね。社会の外に出るというのは、今まで自分たち守ってきたものを、色んなものを失うんですけれど、失ったからこそ、二人には、他の人がもしかしたら知らない、純粋な愛のようなものに触れられるのじゃないか」。

 

多彩な16作品がコンペティション部門に出品 

 第35回モスクワ国際映画祭は、6月20~29日に開催。コンペティション部門には16作品が出品されている。 

 「さよなら渓谷」のほかにコンペ部門に出品されたのは、アンドレイ・ボガトゥイリョフ監督の「ユダ」(原作は作家レオニード・アンドレーエフの小説)、アントン・ローゼンベルグ監督の犯罪ドラマ「スライド」、コンスタンチン・ロプシャンスキー監督の、1920年代の内戦時代を描く白黒作品「ロール」、オランダのディーデリック・エビンゲ(Diederik Ebbinge)監督の「マッターホルン」、ポーランドのヴォイテク・ スマルゾフスキ監督のポリス・ストーリー「交通課(Traffic Department)」、イギリスのガレス・ジョーンズ監督の特異な恋愛・心理ドラマ「Delight」など。

 

元記事(露語)