トルストイの90巻全集(1928~1958)には、彼の文学作品、宗教、哲学論文、社会評論、日記、書簡などが収められているが、これらがすべて電子化されることになった。電子化が終了すれば、ホームページtolstoy.ruから、任意のテキストを無料で読み、携帯端末にダウンロードすることができる。
現在ボランティアが電子版テキストを作成中
現在までに、全著作のスキャンが終わっており、それをもとに電子版テキストを作成し校正するボランティアが募集されている。
希望者は誰でもボランティアになることが可能で、そのためには、プロジェクトのサイトreadingtolstoy.ruに登録し、専用のソフトをダウンロードすると、20ページ分の作業用テキストを与えられる。ボランティアが作業したテキストは、今度は、プロの編集者が校正するという流れだ。
発案は文豪の玄孫フョークラ・トルスタヤさん
トルストイの全著作をオンライン化して一般に公開するというアイデアは、文豪の玄孫フョークラ・トルスタヤさん(42)の発案だ。彼女は現在、トルストイ博物館発展部長を務める。
「私が初め友達とこの計画について話し合ったとき、みんなは『すばらしい!そのアイデアを盗まれないようにしないとね』と言いました。でも、私たちの目的は正反対で、好きなものは何でもコピーして、ということなのです。トルストイも、インターネットで無料で彼の作品を広めることに賛成してくれるでしょう。彼自身、著作権を放棄しているのですから」。トルスタヤさんはこう説明した。
ロシアで進む電子化
「トルストイ全著作をワンクリック」の組織委員会がロシアNOWに語ったところによると、プロジェクトへの一般の反応はとても活発で、プロジェクトに関する報道がマスメディアのパートナーに掲載されてからわずか5時間後には、100名以上のボランティアが登録し、5巻分がダウンロードされた。1昼夜後にはすでに500人近いボランティア作業していた。
ABBYY社の試算では、約2500人のボランティアが必要で、全巻の校正に要する時間は、最初の作業の結果が分かる2週間後に、だいたい見当がつくだろうという。同社は、トルストイの誕生日である9月9日(ユリウス暦8月28日)までに数巻分の作業を終えたいとしている。
現在、ロシアでも、さまざまな作家、資料のオンライン化が進んでいる。トルストイについては、PDF版なら90巻全集をオンラインで読み、ダウンロードすることがしばらく前から可能になっているし、テキストの校訂面で最も進んでいる22巻選集(1978~1985)や、ニコライ・グーセフやパーヴェル・ビリューコフの大部の評伝をはじめとするトルストイ文献も多数電子化されている。
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