戦艦「ポチョムキン=タヴリーチェスキー公」
就役直後の最新鋭戦艦
正式名称は戦艦「ポチョムキン=タヴリーチェスキー公」で、同年5月に就役したばかりの最新鋭艦だった。全長115・4メートル、速力16・6ノット、排水量13500トン、主砲30・5センチ4門、副砲15・2センチ16門。ロシア帝国のニコラーエフ海軍工廠で建造された。
第一次革命と日露戦争が進行中
乗組員は、将校が28名、水兵が788名だが、陸軍が農民出身者が大半だったのに対し、海軍は航海術などの技能が必要だった関係上、都市の出身者が多く、革命運動に関わっていたものが少なくなかった。
当時は、第一次革命と日露戦争が進行中で、とくに5月の日本海海戦の衝撃で、ロシア社会には激震が走っていた。
ボルシチの腐った肉がきっかけ
チョムキン号ではかねてより武装蜂起が計画されていたが、エイゼンシュテインの名画「戦艦ポチョムキン」(1925)で印象的に描かれているように、昼食のボルシチに腐った肉が使われていたのが直接のきっかけだった。
反乱は結局、ポチョムキン一艦だけに終わったが、一時は、鎮圧に差し向けられた艦隊が、ポチョムキンへの砲撃を拒否するなど、容易ならぬ事態に陥った。
権力の最後の拠り所が離反
ポチョムキンはやがて食糧と燃料が尽きて、ルーマニア政府に投降し、水兵たちは政治亡命した。この反乱は、権力の最後の拠り所である軍の大部隊が革命側に寝返った最初のケースであり、革命はいよいよ深刻化していった。
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