「ラファエル前派:ビクトリア朝アヴァンギャルド」

タス通信撮影

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5年以上に渡って準備されてきた美術展が6月11日、「A.S.プーシキン造形美術館」、通称プーシキン美術館の本館で開幕した。開催期間は9月22日まで。これはロンドンの美術館「テート・ブリテン」の所蔵品や、アメリカとイギリスの個人収集品を集めた企画展だ。

ミレイ、バーン・ジョーンズ、ロセッティなどの代表作 

 プーシキン美術館のイリーナ・アントノワ館長によると、準備にこれほどの時間がかかった理由は、世界中でラファエル前派の美術品の人気が高いために「行列に並ばなければいけなかった」こと、また資金的な問題があったことだという。サルバドール・ダリ展で記録された同美術館の最多入館者数(11週間で27 万人)を更新する可能性のあるこの企画展だが、アントノワ館長は予算を明かさなかった。

 ロンドン、ワシントンに続いてモスクワにやってきたラファエロ前派の美術展は、「過去の形象」、「自然」、「詩的な絵画」、「美」、「理想郷」、「救い」と、テーマ別になっている。ミレイの「マリアナ」と「オフィーリア」、バーン・ジョーンズの「愛に導かれる巡礼者」、ロセッティが情緒的な女性の姿を描いた「最愛の人」と「プロセルピナ」、その他装飾・応用美術の作品など、80点以上の作品が展示されている。

 

プーシキン美術館の「ラファエル前派」展

 プーシキン美術館の「ラファエル前派:ビクトリア朝アヴァンギャルド」は、アリシェル・ウスマノフ氏の慈善基金「芸術、科学、スポーツ」協賛の、イギリスの美術館と提携したプログラムの一環だ。

 プログラムは偉大なる風景画家ウィリアム・ターナーの作品を集めた、2008年の企画展から始まった。この時モスクワで初めてターナーの作品約100点 が披露されたが、数時間待ちの入館希望者の行列ができ、イギリス芸術に対する社会の関心の高さが明らかとなった。今回の企画展は、ラファエル前派がモダン様式の元であることを教えてくれる。

「ラファエル前派はロシア人にとっての移動展派」 

 イギリス人にとってのラファエル前派とは、ロシア人にとっての移動展派だと、モスクワの学芸員であるアンナ・ポザンスカヤ氏は説明する。子供時代からなじみ深い芸術なのだ。ロシアの移動展派とイギリスのラファエル前派(前者より20年早い1848年に結成)には、厳しい社会的問題や倫理的問題への関心という共通点がある。ラファエル前派の若き芸術家たち(平均年齢約20歳)は、当時すでにその芸術的情熱に明確な方向性を持っており、ジョット・ディ・ボン ドーネ、フラ・アンジェリコ、またその他の中世やルネッサンスの芸術家を師と仰いだ。これらの若者たちはイギリス美術を確立し、質素、敬神、自然主義に回 帰することを目指したが、当時これは「時代遅れ」と見なされていた。

 

ヨーロッパ・アヴァンギャルドの形成に影響 

 ミレイの「イザベラ」やロセッティの「聖母マリアの少女時代」といった最初の絵画が描かれた頃から、運動は完全に成功した。不可思議な省略語 P.R.B.(Pre-Raphaelite Brotherhoodすなわちラファエル前派)が記されたこれらの絵は、遠近法をとり入れず、女性の体、植物、動物を平面的に描いている。この運動は約 7年しか続かなかったが(1850年代半ばに芸術家の道は分かれ、ミレイは正式なアカデミー会員になった)、絵画、彫刻、文学、デザイン、その他さまざま な分野におけるヨーロッパ・アヴァンギャルドの形成に影響を及ぼした。

 

ロシア通信RBCデイリー紙ヴェドモスチ紙の記事を参照。