ティムール・キム氏=エレーナ・ポチョートヴァ撮影
キム氏はファッション・ハウス、アレキサンダー・マックイーンでの経験をこう語る。
「研修では要するに芸術に没頭してたね。芸術がいかにして服に変貌していくかを目の当たりにした。骨が折れるけど、模様の扱いが特におもしろかったよ。いかに絵に息吹を与えるかを習得したんだ。服が女性の体でどう生きるかを理解することができるようになった」。
キム氏は今日、プリングル・オブ・スコットランドや、オリヴァー・スウィーニー(Oliver Sweeney)などのブランドと提携している。
「プリングル・オブ・スコットランドとは大学時代に仕事をしたけど、このブランドにとって初めてとなる、 過去の製品を使うプロジェクトだった。プリングル・オブ・スコットランドのもっとも象徴的で歴史的に貴重なセーターを、コラージュのようなものにして、私はポップ・アート風にシグナルブルー、ルビー、グリーンなどの鮮明なカラーを使った」。
インスピレーションの源は
キム氏のインスピレーションの源となるものは、ソ連時代の遺産、ロシアのアバンギャルド、エルミタージュ美術館の天井の装飾的ディテールだ。Timur Kimの2013-2014秋冬コレクションは2月15日、ロンドン・ファッション・ウィークで発表され、4月にはモスクワでも披露された。ショーの シューズはイギリスのオリヴァー・スウィーニーと提携した。「ヒールのあるシューズではなくて、ブランド・プリントのブローグをつくりたかった。コレクションは1ヶ月半後、オリヴァー・スウィーニーの全店舗で販売される」。またスカーフやショールの他、「キャビア」プリント、つまりキャビアの瓶の絵の入ったパースなど、メンズのアクセサリー・ラインもできる。
ティムール・キムの013-2014秋冬コレクション
2013-2014秋冬コレクション
「2013-2014秋冬コレクションのインスピレーションとなったものは?」。キム氏はこの質問に対して次のように答えた。
「具体的なインスピレーションを探しているとは言えないし、特定のテーマというものもない。女性に何を着せたいか、自分が女性だったら何を着たいか、ということを考えながら女性を見ている。そういうことの総合だね。例えば、(ロンドンの)『サーチ・ギャラリー』で行われているソ連芸術の企画展など、個別のイメージになることもある。私のキャビア・プリントはここから来たんだ。同時に何か正反対のものもほしくなる。だからコレクションにはエルミタージュの天井の装飾的要素を採用したプリン トもある」。
目指す市場は
キム氏は、将来的にどこの市場を目指すのだろうか?彼はこう説明する。「まずイギリス、次にヨーロッパ、ロシア、そしてアメリカ。今はブランドの『オープニング・セレモニー(Opening Ceremony)』がうちに関心を寄せてくれているけど、まだ交渉段階だ」。
Timur Kimのブランドは商業的に成功しているか、とキム氏に尋ねると、こんな返事が返ってきた。
「まだコレクションを発表して2シーズンだ。セントラル・セント・マーチンズ・カレッジを1年前に卒業したばかりで、まだ発展段階だけど、正しい道を進んでいると思っている。うちの製品はロンドンとサンクトペテルブルク、boutique.ru(ロシア最大の高級アパレルネット・ショップ)で販売されている。サイトの方には私の卒業作品まであるんだ。現在はモスクワの店と交渉している。ブティックが 興味を示してくれたり、ファッション・ウィークに招待されたりすると、自信になる。来年またモスクワに招待されたら、絶対に来るよ」。
最後に、ロシアのファッションに足りないものとは何だと思うかと聞くと、「外界との接触じゃないかな。今はすべてがすごいスピードで進むから、たくさんコミュニケーションをとって、アイデアを伝えて、拝借して、また逆に与えること」と答えてくれた。
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