旋風を巻き起こした雄ギツネが訪露

=PhotoXPress撮影

=PhotoXPress撮影

サンクトペテルブルクに「ハイな雄ギツネ(Uporotyi Lis)」が到着し、注目の企画展も開幕した。この雄ギツネは、イギリスの剥製師(はくせいし)兼芸術家であるアデル・モースさんの、剥製失敗作だ。雄ギツネと、インターネット上に登場した、雄ギツネのさまざまなネタや皮肉たっぷりの合成写真は、カフェ「ゲオメトリヤ(Geometriya)」に展示されている。

ケガの功名 

 モースさんの説明によると、技術的な作業をちょっと間違えて、失敗してしまったのだという。だが写真を見る限り、技術的な作業からは最大限に逸脱している。雄ギツネの姿勢はゆがんでおり、顔は平面的で、目はまるで「こんなになっちゃったけど・・・」と訴えるように見開いている。

 雄ギツネはルネット(ロシアのインターネット)で人気が爆発した。政治家、スター、テレビ司会者、革命家、サッカー選手、犯罪者など、さまざまな有名人との合成写真がつくられ、アップロードされている。

 

議論沸騰 

 モースさんをロシアに招待したことが3月に発表されると、サンクトペテルブルクでは議論が巻き起こった。正教原理主義者で同性愛プロパガンダ禁止法の考案者、またアメリカの歌手マドンナさんに対する訴訟を主導した、ウラジーミル・ミロノフ市会議員は、モースさんが動物虐待をしていると批判した(もともとの動物の死体を剥製にする場合の話ではない)。ミロノフ議員はまた、モースさんが犬狩りを行っている人々との交流があるとして、地元の育犬家たちに企画展に来ることを呼びかけた。ただ、それには反応する人はいなかった。

 モースさんは記者会見で、動物を虐待したことはないと主張した。「ミロノフ議員が私のことを無分別だと言って批判し、その意見に賛同する人を企画展に召集するまで、この議員のことは知らなかった。誰にでも自分の意見や観点があるものだが、ミロノフ議員は私のことを完全に誤解している。動物の虐待は、私の姿勢とは真逆の行為。私はベジタリアンになってすでに10年が経過している」。

 

どこかロシア人に似ている? 

 モースさんが雄ギツネのことをロシアの”象徴”と名づけた、と言われているが、本人はこれを否定した。「あるインタビューで、私が『雄ギツネはどこか寂しげで酔っ払いに見える。これはロシア人の特徴を反映している。どんよりとした視線はロシア人そのものだ』と話したと言われたが、これは私の言葉ではない。あるファンの話を引用したにすぎない。ロシアでなぜこんなに人気が出たのかは、いまだによくわかっていない」。

 モースさんの記者会見には、100人以上のジャーナリストが集まった。これは市政府の会議に集まるジャーナリストの3倍にもなる。