ショバンの写真集「ソビエトSFスタイル」(タッシェン出版社・ドイツ)には、「ソビエト建築の第四時代」を象徴する、旧ソ連諸国14カ国で撮影された90棟の建築物が収録されている。そこに収められた写真は、1970年から1990年の間に現れた、想像力のルネッサンスを物語るものだ。20年代や50年代と異なり、これらの建築物はいかなる派閥にも属さず、機能を失いつつある体制がもたらした独創力を顕著に示している。その多様性はあたかも、ソ連崩壊を予告しているかのようだ。
全体主義構造の崩壊に乗じ、建築家はモダニズムをはるかに超え、原点に回帰したり、自由で革新的なアイディアに手を伸ばし始めたりした。彼らの様々なスタイルは、宇宙への執着やアイデンティティの復活など、その時代のイデオロギーや夢を物語ると同時に、崩壊前夜の旧ソ連諸国の地域色も反映している。
「ソビエトSFスタイル」は、2010年にフランス、ペルピニャンの国際写真集・映画祭にて、建築部門最優秀賞を受賞した。
ショバンは、15年にわたりフランスのライフスタイル誌「CitizenK」の編集長を務めている。旧ソ連の建築物をフィルムに収めるプロジェクトは、2003年から2010年までの7年間に及んだ。これらの写真は、日本やアメリカなど、世界各地の写真展にて展示された。
注釈: 「ソビエトSFスタイル」は東京での写真展の際に用いられた訳語で、原語では「宇宙的共産主義建築様式」というタイトルがつけられている。
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