帆船セドフ号が太平洋で新年を迎える

Press Photo撮影

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 バーク型練習帆船セドフ号のクルーは、フィリピンから1000海里離れた太平洋で新年を迎える。セーラーたちのもとにはヨールカ(モミの木)や贈り物が届き、調理員は祝いの食卓を準備する。もっとも航海中のアルコールは禁止だが。

バーク型帆船セドフ号が世界一周航海に出て、もう8ヶ月目になる。今はこの独自の航海の中間点。練習帆船は、帆船による地球一周に必要な14ヶ月の予定期間の半分を過ぎた。現在までに、このバーク型帆船は2万7千海里以上の航海を行った。

クリップ

帆船セドフ号

セドフ号は、1921年にドイツで建造されたバーク型帆船。第2次大戦終結まで食料の運搬などに従事していたが、選後、ソ連に引き渡された。現在は、航海練習船として活躍している。船名は、ロシアの北極探検家ゲオルギー・セドフに因む。全長117・5メートルで、同じくバーク型の日本の海王丸と日本丸より20メートルほど長い。バーク型は、3本以上のマストがあり、最後尾のマストに縦帆(じゅうはん)が、他のマストには横帆(おうはん)がある。

新年向けに「ムーミー・トロール」とビデオも撮影 

まもなく新年だが、セドフ号のクルーにとって新年は、モスクワ市民よりも7時間早くやってくる。船員たちは新年を、まず天体の動きどおりの自然時間で迎え、その後、モスクワ時間でも新年を祝う。乗組員と、帆船上で訓練を受けている教習生らは、新年に向けて特別に、ロシアの超人気ロックバンド「ムーミー・トロール」の歌「新年おめでとう、おちびさん」の演奏にのせて、ビデオを撮影した。ミュージシャンらがそれを編集し、そのビデオクリップは今、この世界一周航海のサイトで見られるが、もう少しすればテレビのチャンネルでも見られるようになる。

「今、バーク型帆船セドフ号は、サモアからマニラへ行く途中ですが、12月31日には太平洋。フィリピンまで、あと10日の航海で、距離にして約1000海里です。世界一周航海に出るとき、乗組員は必要なものをみな持っていきました。ヨールカも、花輪も、いろんなお正月用品も。セーラーたちは、ヨールカの下に、セドフ号の中央マストの中の1本を形どった飾りをつけたいと願っています。彼らがそれをどんな風にやるのか、まだわかりませんが、彼らが迎える新年は私たちの新年よりずっと面白いと思います」と世界一周航海のPRマネジャー、リュボフィ・ヨールキナさんは言う。

アルコール厳禁、シャンパンもなし 

船員たちの食事の献立は、かなり品数が少なく新趣向の品はない。しかし新年に向けて、調理人はクルーのために祝いの食卓を準備する。もちろん、レストランに見られるようなご馳走の計画はないが、新年恒例のサラダ「オリビエ」と、オーブンで焼いたチキンが出る。海の規則を知らない人たちは、すぐに、ラム酒とさいころゲームつきの楽しい小宴を想像するが、現実はフォークロアとは大きくちがう。忘れてならないのは、セドフ号の乗組員にとって、世界一周航海は、第一に、業務だということ。だからアルコールは何も出ず、シャンパンさえ出されることはない。セーラーたちが期待できるのは、紅茶のお代わりくらいだ。

2013年2月11日、帆船セドフ号が長崎に入港する。

正月も天候次第 

洋上の、とくにこんな船の上では、お祝いを左右するのは天候だ。もし海が穏やかであれば、乗組員は平穏に新年を迎えることができるが、嵐が始まると、お祝いも個人の用事も、みなそっちのけ。クルー全員が一体となって行動しなければならない。今、帆船セドフ号に乗船しているのはすでに、順番に乗船する教習生の第2グループ。この6ヶ月間は彼らにとって、もっとも長い航程だった。大西洋横断航程が24日間、そして今、太平洋を越えて行く31日の航程だ。ほとんど半年近い月日の間に、教習生らは海の知識を身につけ、好調な航海を続けている。総員操帆作業と厳しい海風は、意志を鍛える最高の鍛錬法だ。

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