アメリカへの対抗措置を検討

=タス通信撮影

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ロシアは年末までに、「マグニツキー法」の対抗措置となる法案を採択し、複数のアメリカ人を、ロシア入国禁止や、ロシア国内での口座と資産の凍結といった制裁の対象にする。専門家はこの措置により、反発が大きくなると予測している。

アメリカ議会上院は6日、ロシアの一部政府関係者に対するアメリカ入国禁止条項が盛り込まれている、ロシアの弁護士セルゲイ・マグニツキー死亡事件を発端とした「マグニツキー法」を可決した。

マグニツキー弁護士は、5億ドル相当の税金詐取を税務警察の人間による犯行とみて、告発しようとしたが、当の税務警察の手で2008年1月に逮捕され、刑務所に1年近く拘禁された末、2009年11月に膵臓の機能不全で死亡したという事件。

ロシア側の対抗措置は 

これに対してロシアは、独自の法律を定めようとしている。ロシアの制裁対象一覧に記載されるアメリカ人は、ロシア国内の口座と資金が凍結される。法案が可決されるのは年末の見込み。専門家は、アメリカで懲役25年の判決を言い渡されたロシアのビジネスマンであるヴィクトル・ブートの証人、「マグニツキー法」を可決した議員、ロシア児童養子問題でアメリカ人養親に有利な判決を下した裁判官なども制裁対象になると予測している。

法案は12月10日に下院(国家会議)に送られたが、そこで可決されれば、2013年1月1日から6カテゴリーに該当するアメリカ人がロシアに入国できなくなる。

そのカテゴリーとは、1. 外国に滞在するロシア人に対して犯罪を犯した者、またそのような犯罪に関与した者、2. ロシア人に対して犯罪を犯した者を放免にした国家全権代理人、3. ロシア人の誘拐または違法な自由拘束に関与した者、4. ロシア人に対して根拠のないまたは不公平な判決を下した者、5. ロシア人を根拠なく起訴する者、6. ロシア人の権利および正当な利益を侵害するような、根拠のない決定を行った者だ。

経済的制裁も 

ロシア版「マグニツキー一覧」に記載されたアメリカ人には、経済的な制裁も加えられる。それは、ロシアの口座と金融資産の凍結、財産や投資のビジネスおよびロシアの財産処分の禁止などだ。また、ロシア企業を運営する取締役会やその他の組織への入会、アメリカの法人が管理する活動も停止される。ロシア外務省は、制裁実施状況について、国会議員に毎年報告を行うことになる。

ナルィシュキン国家院議長は、国家院が12月19日、法案の第二読会を開催することを約束しており、年末までには可決される予定だ。国家院はこの法案が、「マグニツキー法」への政治的対抗措置であることを隠していない。院内党派「統一ロシア」のウラジーミル・ワシーリエフ党首は、国家院の議員グループが「愛国的な統一見解を示す」ために、政治的対立を一旦休止できたことに注目した。

下院はアメリカとの関係悪化を恐れていない。

「今は関係悪化を心配する必要はない。アメリカは国際法を犯し、国際的なマナーにも違反して、ロシアに何かを強要しようとしている。アメリカ人に嫌われたら、『マグニツキー一覧』に加えられてしまう。ロシアの立場は統一された適切なものでなければならない」と、共産党のワジム・ソロヴィヨフ議員はロシアNOWに語った。ロシアは権威を守らなければならないと同議員は考えている。

「かえってやぶ蛇になる」 

政治社会学研究所のヴャチェスラフ・スミルノフ所長は、この対抗措置に加えられるアメリカ人は100人に満たないと考える。ロシアを訪れるアメリカ人は少なく、金融的または財産的利益もないからだ。この一覧には、アメリカのあらゆる政治家、外交官、ジャーナリストが加わる可能性がある。最初に加えられるのは、「マグニツキー法」を可決した議員、ブート事件の証人だ。

政治情報センターのアレクセイ・ムヒン所長は、「マグニツキー法」への対抗措置を可決しようとしているロシアの議員にこう警告する。

「このアメリカの法律にすぐに反応すべきではないと確信している。これはアメリカの内政にすぎないのに、ロシアがそれを極端に注視して対抗措置をとると、かえってこの問題の重要性を高めてしまう」。西側諸国は、「マグニツキー法」に対するロシアの過激なリアクションを期待しているし、アメリカにとって重要なのは、ヨーロッパ諸国がこの法案に署名することだとムヒン所長は考えている。「ロシアが騒ぐと、ヨーロッパがびっくりして、かえって署名してしまうことになる」。

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