=Vostock Photo/ロイター通信撮影
2012年のロシアの中心テーマは政治的危機だったが、年末に近づくにしたがって、政治の話に経済学者が加わるようになってきた。ロシア経済の前にはどのような脅威が立ちはだかっているのか、そしてロシアはどのようにそれに立ち向かっていくべきなのか。
戦略策定センター「革命も起こり得る」?
ロシアの世論調査センター「レバダ・センター」のアンケートによると、国民の半数以上が、国には改革が必要で、ウラジーミル・プーチン大統領率いる政府は、必要な形で改革を行っていないと考えている。政府系の戦略策定センターのデータでも、すでに66%の国民が政権を支持していない。プーチン大統領の支持率が落ちているからといって、野党の支持が増えているわけではないが、同センターはこの結果から、国内で新しい大規模な反政府デモが行われる可能性が高く、さらには革命も起こり得るとの結論を出した。
政治学者らが野党からプーチンの対抗馬がでてくるか議論している一方で、経済学者らはWTO加盟初年度がどのように推移するか心配している。イギリスのフィナンシャル・タイムズ紙も、悲観的なシナリオを示している。同紙によるとロシアの投資環境は徐々に悪化しており、11月末時点で、専門家のわずか15%しか現ロシア政権の政策がビジネスをやりやすくすると考えていない。
納税は著しく容易に
このような主観的評価のほかに、具体的な数字もある。2013年版「ビジネス環境の現状」報告では総合で112位に上昇し、ビジネスへの行政的圧力の軽減と税務改革が指標に現れ、納税のわかり易さで昨年の105位から41位上昇して、64位につけた。ビジネス環境の問題点としては、ロシアで常態化している建設許可の受領の難しさと、電気供給の不安定さがあげられている。
また、どの主要な分野でも足かせとなってしまうのが、お決まりの通関問題だ。政府は今年6月、税関管理改革のロードマップを承認したが、来年それが実行されれば、状況は改善していく可能性がある。
数値目標として掲げられているのが、外国への輸出書類を2.5分の1に減らすことと、書類作成期限を25日から7日に短縮することだ。これ以外にも、ロシア、カザフスタン、ベラルーシで結成されている関税同盟により、3国間の通関手続きが撤廃され、アジアからヨーロッパへの貨物輸送期間が数分の1に短縮したことから、専門家は同盟の効果も考慮に入れている。
「いかに他より抜きん出るかが課題」
ただ一部の専門家は、すべてが順調に進み、「ビジネス環境の現状」の順位がさらに上がるという確信を持てないでいる。
RBC社のティモフェイ・シャツキフ氏はこう言う。「ロシアは確かに2013年に躍進できるような優れた基盤を敷きました。ただ国際市場は間違いを許容しませんし、世界各国が今統合の道を歩んでいる中で、ロシアはただ前進するだけではなく、他より抜きんでることが課題となってきます」。EUの経済危機を背景に、ロシアが躍進するチャンスは十分にありそうなことも事実だ。
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