ゴルビーが本を出版

=ヴクトル・ヴァセニン/ロッシースカヤ・ガゼータ撮影

=ヴクトル・ヴァセニン/ロッシースカヤ・ガゼータ撮影

ソ連の最初で唯一の大統領、ミハイル・ゴルバチョフ氏(81)が、5年以上かけて書き上げた新書「自分と向き合って」(露語原題は"Наедине с собой")をモスクワで発表した。

プレゼンテーションは書店で行われ、誰でも自由に参加できた。始まる前から、プレゼン会場は人が入れなくなるほど満杯になってしまい、サインがもらえないのではと心配する人もいた。

故ライサ夫人の言葉がきっかけに 

ゴルバチョフ氏はこの本を書くのは簡単ではなかったと打ち明けた。「難しい。人生について正直に簡単に書くことは難しい。わたしはこの本を妻に捧げた。妻はわたしに、もし書けるのなら、その力があるなら、書いたほうがいいでしょう、と言った」。

ゴルバチョフ氏によると、ライサ夫人自身も「人々や生活についての本を書くことを希望し、実際に書き始めた」という。「標題紙に赤いインクで『胸が痛むこと』と書かれた本を出版する計画だった」。

ライサ夫人は重病で出版を実現できなくなり、1999年に亡くなった。「その後わたしも、個人的な話や、特にライサに関する話がより多く含まれた本を書こうと決心した。ライサの本は当然違ったものになっただろう。わたしの本にはやはり多くの政治の話が出てくる」。

懺悔のような率直さ 

「自分と向き合って」は回想と考察の本で、これまでの軌跡、成功、過ち、家族、そして愛について書かれている。ゴルバチョフ夫妻の関係は、知人のだれもがうらやむような理想的なものだった。ゴルバチョフ氏が自分の感情について語っている個所は、その素朴さと正直さで人々を驚かす。

本の中に出てくる政治に関する対話も、とても個人的なものだ。また、子供が産まれる前の不安、初めての中絶、病気、妻を失った痛みなど、家族生活でもっとも困難だった時期についての回想は、人の懺悔を聴聞しているかのようで、いたたまれない気持ちになってしまうほど赤裸々に語られている。

ゴルバチョフ氏は四半世紀前にクレムリンから去ったが、以来国際社会経済・政治研究基金(通称ゴルバチョフ基金)を指揮している。積極的に国際機関の活動に参加し、慈善事業も行っている。

同氏は政権にいた1985年から1991年までの6年間で、ペレストロイカ(再建)やグラスノスチ(情報公開)で内政変革のきっかけをつくり、冷戦を終結させ、米ソ核軍縮対話を再開させ、第二次世界大戦後に分裂していたドイツを統一させた。

現在も活発な活動 

政権を去った後も、非公式な世界の指導者グループのメンバーであり続けている、ロシアでは数少ない政治家のひとりだ。人々はいまだに、このノーベル平和賞受賞者の話に耳を傾けているし、実際、彼自身、語るべきことがまだたくさんある。

ゴルバチョフ氏の本は通常口述筆記だが、その後入念に編集し、追記するという。1987年に出版された最初の本は「ペレストロイカ」(田中直樹訳、講談社)で、その後いくつかの本が続き、1995年に「ゴルバチョフ回想録」(工藤精一郎・鈴木康雄訳、新潮社)、1998年に「どのように起こったか ドイツ統一」(仮訳)、「ペレストロイカを理解する」(仮訳)が出版された。

「自分と向き合って」は700ページの大作だ。ニュース番組「ヴェスチ」によると、ゴルバチョフ基金は、この本が外国語に翻訳されると見込んでいる。

ロッシースカヤ・ガゼータ(ロシア新聞)、ヴェスチを参照

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