日本が中央アジアの資源に注目

ドッソルの油田、カザフスタン =ロイター/VostockPhoto通信撮影

ドッソルの油田、カザフスタン =ロイター/VostockPhoto通信撮影

日本は旧ソ連の中央アジア5ヶ国に対し、ガス田、油田、レアアース(希土類)鉱山の開発援助として、7億ドル(約57億円)規模の投資を行おうとしている。日本が経済に重要な資源の調達において、中国への依存を減らそうとしていることが、これらの交渉の理由だ。

玄葉外相が中央アジア5カ国外相と会談 

玄葉光一郎外務大臣は11月10日、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタンの5ヶ国の外相と東京で会談し、資金援助を約束した。この5ヶ国には、石油、天然ガス、レアアースなどの豊富な天然資源がある。

ロシアは旧ソ連圏で、地政学的、経済的計画を実現しようと努力しているが、日本もこれらの国と経済的に結びつこうとしている。日本は、領土問題を発端とした最近の中国との関係の悪化により、中国への資源依存を減らそうと試みている。

日本の中央アジアへの進出 

日本はアメリカやヨーロッパと並んで、ソ連崩壊後に旧ソ連共和国への支援を始め、カザフスタンとは1999年に戦略的パートナーシップを結んだ。ウズベキスタンは1996年に、中央アジア最大の日本から資金援助受給国、また投資対象国となった。ウズベキスタンには11社の日本との合弁会社、日系大手貿易関連企業14社の駐在事務所があり、日系企業は現在、ブハラ石油精製工場の建設、フェルガナ石油精製工場の改築、その他の機械製造や保健などの分野に投資を行っている。

2004年から日本は、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、カザフスタンの外相を招いて、対テロ問題や中央アジアとの貿易促進を目的とした「中央アジア+日本」対話を行うようになった。

日本の企業は、アゼルバイジャンの首都バクー市から南東へ約120キロに位置するアゼリ・チラグ・グナシリ(ACG)油田を含む、カスピ海南部の油田の開発に投資し、さらに日本政府が支援する国際石油開発帝石(INPEX)も、カザフスタンのカシャガン油田に投資を行った。

これらのプロジェクトは、旧ソ連共和国におけるロシアのエネルギー戦略の影響力を弱める手段にもなり得る。中央アジアでは、アメリカ、ロシア、中国が勢力争いをしているが、日本はこの地域で、より重要な地政学的役割を果たそうとしている。

 増加するガスの需要

日本は昨年の福島第一原発事故後、原子力エネルギーの使用をほぼ停止しており、ガス田が豊富なアジア地域の旧ソ連共和国への関心は特に高まった。日本の経済産業省が9月に行った報告では、日本のエネルギー需要は20%増の年間9000万トンに達し、うちガスの割合は2011年度に14%で、拡大を続けている。また、ガス需要の96%を液化天然ガス(LNG)として輸入し、LNG輸入量で世界第1位になっている。

ガスプロムがウラジオストクに液化天然ガス生産基地を建設するプロジェクトと、「サハリン3」プロジェクトに関心を示したのは自然なことだ。アジア太平洋経済協力(APEC)会議では、資金援助やガスのマーケティングなどの分野を含む、全面的協力関係発展プロジェクトについての覚書に、日本政府とガスプロムが調印した。

ロシアとの提携に関心 

経済産業省資源・燃料部長の安藤久佳氏は9月、日本がロシアとのエネルギー協力に強い関心を持っていることを伝え、「ロシアの価格が世界標準に合うことが重要である」と述べた。

フォーブス誌の専門家は、日本とロシアが中央アジアの共同投資プロジェクトを行えると考えている。ここでは日本が自国のITや産業などの分野の経験を共有できるという。

「アジアは変化しており、環太平洋の過小評価されてきた大国の地位は、見直されねばならない。このことをロシアは理解している。こうした見直しは、ロシアは日本と共同でも、ロシア単独でも、実行可能だが、日本政府の協力を得ればより容易になる」と同専門家は述べている。

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