ナタリア・ミハイレンコ
10月26日、モスクワに初雪が舞った。
これはいつでも一つの事件だ。昔から、初雪は本格的に冬が到来する40日前に降ると言われている。
『雪が降る、すべてが入り混じる/歩道が白くなる/草木が驚く/十字路の曲がり角で』(「雪が降る」、1957年)
長編「ドクトル・ジバゴ」で知られる詩人ボリス・パステルナークはこう歌う。彼の世界にあっては、雪とはカオスを生にもたらすものだ。
一方、堀口大學の描く雪には瞑想的な響きがある。
『雪はふる! 雪はふる!/見よかし、天の祭なり!/空なる神の殿堂に/冬の祭ぞ酣(たけなわ)なる!』(「雪」)
大學は雪を「冬の祭典」のイメージで描いた。この祭りでは神々と人間が集い、天と地が一つになる。
二人の詩人はいずれも初雪を通して、永遠の運動と生の回帰を表している。
もちろん、これはみな抒情詩の世界のことで、現実には、初雪の魅惑はまもなく氷雨、厳寒にとってかわられる。
しかし、これとて、初雪の世界がわれわれにもたらすものに比べれば、とるに足らないではないか?…
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