水爆から国際熱核融合実験炉まで

ITERの建設はフランスのカダラッシュで2007年に始まった 写真提供:www.iter.org

ITERの建設はフランスのカダラッシュで2007年に始まった 写真提供:www.iter.org

1952年11月1日、マーシャル諸島のエニウェトク環礁で、アメリカが世界初の水爆実験を行った。その9年後の1961年10月30日、ソ連は普通の爆弾5000万トン分に相当する、50メガトンの水爆実験を行い、地球を文字通り「揺るがした」。

水素爆弾は、高温による核融合反応(熱核反応)を起こすので、「熱核爆弾」とも呼ばれる。 

以降、世界の軍国では水素爆弾の保有が必須となった。水素爆弾はずいぶん早くつくられ、実験されたが、核融合反応の平和利用の問題は、ソ連とアメリカの優れた研究者が1920年代半ばから取り組んでいたものの、本腰が入り始めたのはつい最近のことだ。

国際熱核融合実験炉(ITER 

1970年代初め、核融合原子炉は国際的に広く協力しないと建設できないということが世界で認識され、ソ連は1985年9月に、国際熱核融合実験炉(ITER)の共同開発を、各国に呼びかけた。

1990年初めにかけて、ロシア、アメリカ、日本、ヨーロッパの研究者らが、実験炉の計画草案を作成し、1992年7月に国際原子力機関(IAEA)の後援を受けて、カナダや中国の専門家を含む、国際物理学者・技術者作業部会がプロジェクトの技術的実現に向けて動き始めた。

ITERプロジェクトの主なプログラムの目的は、水素の核融合反応でエネルギーを得る、科学的・技術的可能性を示すことだ。ITER実験炉の出力は500メガワット。

2007ITER建設開始 

2006年11月、EU、ロシア、日本、アメリカ、中国、韓国、インドのITERプロジェクトの参加国すべてが、ITERプロジェクト共同実現のためのITER国際核融合エネルギー機構設立協定に署名した。

ITERの建設はフランスのカダラッシュで2007年に始まっており、ロシアの役割は、主な技術機器の開発、製造、納入、また実験炉建設費用の約10%の投資である。投資割合は日本、アメリカ、中国、韓国、インドも同じだ。

建設費用は当初、50億ユーロ(約5000億円)と試算され、当初は2016年までに完工する計画だったが、費用は約2倍にふくらみ、実験開始の時期も2020年まで延期された。

リーダー役はロシア 

このプロジェクトの推進でリーダー役を務めているのが、出力約5億ワットの準定常核融合装置実現プロジェクトを人類初の成功に導いた、ロシアの専門家だ。

現在サンクトペテルブルクでは、D.V.エフレモフ電気物理機器研究所をベースにITER用特別装置の実験が行われ、11月末には結果が出る見込みであると、ロシアのITERセンターが伝えている。

クルチャトフ研究所の所長で、ロシア科学アカデミーのアカデミー会員であるエフゲニー・ヴェリホフ氏は、ロシアがITERプロジェクトの自国の担当分を順調に遂行していると以前発表していた。ロシアの担当指標は、ITERの他の参加国よりも、作業の期間、量、質の点でより高い指標となっている。

3段階のシナリオ 

メドベージェフ大統領(当時)は2009年7月末、ニジニ・ノヴゴロド郊外に位置する、かつての秘密都市アルザマス16(現サロフ)で記者団を前に演説を行い、核融合研究の方向性を示した。

「核融合は長期的なプロジェクトであり、商業化は2040年から2050年頃になると見込まれている。核融合エネルギー獲得の最も現実的なシナリオは、熱核反応の長時間燃焼モードの開発、電力生産の実証、産業核融合ステーションの設立の3段階からなる」。

ヴェリホフ氏が2007年に述べた意見では、世界初の核融合発電所の出現は25年以上先になる。ロシアは2050年までに出力1ギガワットの産業核融合発電を始め、今世紀末までに、現在のロシアの発電量40%に相当する出力100ギガワットまで拡大しなければならない。

目下のところ、最強の核融合という”ジン”は、頑丈な”ボトル”を必要としている。