モスクワ国際金融センター(モスクワ・シティ)に建設中のマーキュリー・シティー・タワー(右) =Vostock-Photo/ロイター通信撮影
マーキュリー・グループ傘下の企業マーキュリー・シティが、マーキュリー・シティ・タワー(総面積17万3900平方メートル)の5階層を、日本たばこ産業(JT)に販売すると話したのは、不動産市場の関係者だ。交渉はすでにかなり進んでいるという。
“欧州最高”のマーキュリー・シティー・タワーに
マーキュリー・シティー・タワー(75階建、338m)は、モスクワ国際金融センター(モスクワ・シティ)に建設中で、11月1日に独"Emporis"の超高層ビル番付で、欧州最高と認められた。
「主な契約はすでに完了していますが、マーキュリー・シティ・タワーでは最大規模の取引のひとつになります」と、イーゴリ・ケサエフ氏の広報部門の顧問であるアナトーリ・シリャエフ氏は述べた。
JTは、4階から40階までのオフィス・フロアの上階部分、総面積約1万平方メートルを購入するという。JTの海外たばこ事業部門であるJTIのロシア現地法人の広報責任者、アナトーリー・ヴェレシチャギン氏は、こう説明した。「事務所の拡充が必要だったことや、長期的に有効な支出ということで、新しい事務所探しをしました」。
JTIにとってロシアは最大の市場だ。
タバコ・タワー
マーキュリー・グループ傘下のタバコ流通・販売会社メガポリスは、4年以上もJT製品の主な販売者となっており、以前からマーキュリー・グループとJTIは提携関係を結んでいた。ケサエフ氏はこれ以外に、グループが専売を行っているフィリップ・モリスやインペリアル・タバコの事務所にも、マーキュリー・シティ・タワーの入居を期待している可能性がある。
モスクワ・シティの当初の設計では、17棟のタワーが立つこととなっていたが、20年経過した現在、「ナベレジナヤ・タワー」(15万7000平方m)、「フェデレーション・タワー」(西棟、8万4000平方m)、「キャピタル・シティ」(7万8600平方m)、「インペリア・タワー」(7万平方m)、「北タワー」(5万9000平方m)の5棟しか稼働していない。英不動産コンサルティング会社ナイト・フランクのデータによると、モスクワ・シティのオフィス部分の総面積は134万平方メートルだ。
CBREロシアのオフィス・スペース部門長のエレーナ・デニソワ氏によると、モスクワ・シティのオフィス市場では今回の取引と類似したケースがないため、取引価格を試算できないという。
「現在建設中のビルで、販売が行われているところはありませんし、ほとんどの建物が賃貸だけを視野に入れています」。すでに完成したモスクワ・シティのビルの場合だと、価格帯は1平方メートルあたり8000ドルから1万1000ドルになるという。
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