琥珀産業を救え

写真提供: Lanzi/de.wikipedia.org

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会計検査院は、ロシアの琥珀産業の現状を調査し、関連資料を最高検察庁に送った。専門家は、現状を調べた上で、専売者である連邦国営単一企業「カリーニングラード琥珀コンビナート」に、採掘した琥珀の自主販売を開始するよう勧告していた。現在、琥珀の不法採掘が跋扈し、公式採掘量を1.5倍上回っているが、罰則は最高でも罰金5000ルーブル(約1万3千円)にすぎず、事実上野放しの状態となっている。

会計検査院の監査員によると、現在、琥珀販売で得られる収益のすべてが、仲買人のもとやロシア国外で吸収されてしまう上、仲買人の付加価値税の補てんで、毎年数千万ルーブルもの予算を失っているという。

専売でない専売企業 

世界の琥珀市場は、10億ユーロ(約1000億円)以上の規模であると評価されているが、世界の琥珀産出量の80%をロシア、リトアニア、ラトビア、ポーランドが占めているほどの琥珀大国でありながら、ロシアは、採掘でわずか450万ユーロ(約4億7000万円)しか得ていない。1980年代、カリーニングラード琥珀コンビナートからの税収入は、カリーニングラード州の予算の20%を占めていたが、現在は0.5%以下だ。

現在は、財務省の管理下にある、カリーニングラード琥珀コンビナートしか正式な琥珀採掘を行っていない。公式データによると、昨年の琥珀採掘量は340トンだったが、ロシア国外へ持ち出された量はその1.5倍だった。

23番または32番(直径mm)の琥珀は、1キロあたり平均150ドル(約1万2000円)だが、ひとつの琥珀石が1キロ以上だと価格は2000ドル(約16万円)以上に達するという。

法律の不備 

専門家は、不法採掘の規模は、ロシアの法律の不備と関係していると指摘する。不法採掘者には、最も厳しい罰則でも、行政責任と5000ルーブル(約1万3000円)の罰金しか定められていない。

カリーニングラード州政府は、法律の厳格化と、裁判所を通した採掘道具の没収の許可を求めている。道具というのは、ブルドーザー、ショベルカー、モーター・ポンプなどで、これらでバルト海沿岸のヤンタルヌイ村にある琥珀鉱山を掘る。

当地の内務省によると、警察や連邦保安庁が差し押さえる不法採掘のすべての機械は、罰金5000ルーブルを収めた後に返還されるという。「罰金を支払って、機械を返してもらうと、“闇の採掘屋”はすぐにヤンタルヌイ村に戻ってしまう。イタチごっこだ。こっちが捕まえ、あっちが掘るをくり返すだけだ」と、カリーニングラード州の警察官は不満を述べる。

1996年の刑法改正で刑事罰がなくなる 

さまざまなデータを総合すると、ここ10年で不法採掘された琥珀は、5000万ドル(約40億円)にのぼる。内務省の情報によると、1990年代、カリーニングラード州では、何トンもの不法採掘琥珀が押収されていた。

当時を知る内務省カリーニングラード支部の関係者らは、琥珀の不法採掘と加工に対し、2年の禁固刑の刑事罰を定める条項が刑法典に定められていた時代を懐かしむ。この法律は、新しい刑法典が発効した1996年になくなった。カリーニングラードの警察は、以前の刑事罰を再び条項として戻せば、不法採掘をなくせると考えている。

*元原稿

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