=ロシア通信撮影
約3兆円を投資
ガスプロムのアレクセイ・ミレル社長は、2017年末までに、東シベリアのチャヤンダ・ガス田からウラジオストクまでガスパイプラインを敷く計画であることを、ウラジーミル・プーチン大統領と会見し伝えた。
サハ共和国のチャヤンダから共和国内とハバロフスクを経由して、ウラジオストクまで伸びる全長3200キロのパイプラインの建設に、7700億ルーブル(約1兆9600億円)、さらにガス田の整備に、4300億ルーブル(約1兆1000億円)がかかるという。
さらに、ウラジオストクに2018年までに、年産1000万トン以上の液化天然ガス(LNG)工場を建設する計画があり、それには2200億ルーブル(約5600億円)ほどが必要になるとミレル社長は述べた。
ガスプロムは、天然ガス埋蔵量1兆3000億立法メートルの巨大なチャヤンダ・ガス田のライセンスを、2008年9月に取得し、2016年に開発を開始する計画だが、このような具体的な着工時期や投資についてはこれまで発表されなかった。
プーチン大統領はガスプロムに対し、すべての問題を可及的速やかに解決し、建設に着工するよう指示したと、ドミトリー・ペスコフ大統領報道官は伝えた。
コヴィクタ・ガス田開発と合わせて
ミレル社長は、チャヤンダ・ガス田に続いて、イルクーツク州のコヴィクタ・ガス田の開発も始める計画であることを述べた。「イルクーツクのガス採掘中心部から、西のクラスノヤルスク、ノヴォシビルスク、オムスク方面にガスを供給する可能性を探っている。東シベリアと西シベリアをつなぐ計画だ」とミレル社長。「このようにして、ロシアにガス供給の統一システムが生まれる」とプーチン大統領も述べた。
プーチン大統領はさらに、3兆立法メートル以上にもなるチャヤンダ・ガス田とコヴィクタ・ガス田のガス埋蔵量は、国内市場をまかなえるだけでなく、アジア太平洋地域への輸出の基盤となると自信を見せた。
ミレル社長もこれに賛成し、「近々、ヨーロッパへの輸出量に匹敵する天然ガスの輸出ができるようになる。もしかしたらヨーロッパ以上になるかもしれない」と述べた。同社長によると、具体的な契約は2018年以降に結ばれることになるが、すでに中国に680億立法メートル、韓国に100億立法メートルを輸出することで暫定的に合意しており、さらに日本への輸出も検討されているという。
“見切り発車”に不安の声も
しかしながら、「ズベルバンクCIB」のアナリストであるワレリー・ネステロフ氏は、販売市場を保証する具体的な契約のない状態で、新たにガス田を開発し、パイプラインを建設しても仕方がないと警告する。また、アメリカのシェールガス革命やヨーロッパ市場の変化に絡み、戦略の見直しが必要とされているが、ガスプロムは投資回収率が不確かな、お決まりの大型プロジェクトを計画しながら、惰性で開発を続けていると考えている。
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