「霧の中のハリネズミ」のスタンプ(ソ連)1988年
1970年から2000年までにロシアの巨匠によって作られたアニメーション作品のいくつかの断片を紹介したい。
「ワニのゲーナ」 (1)は1969 年にロマン・カチャノフ監督、ソユーズムルティフィルム・スタジオ製作のロシアのストップ・モーション・アニメーション映画である。成功した為、続編がシリーズで出た。
「Nu, pogodi!"」(2) (「ちょっと待て!」) は、ソ連/ロシアでこよなく愛されるヴャチェスラフ・コテョノチキン監督、ソユーズムルティフィルム・スタジオ製作のアニメ・シリーズである。最初のシリーズは1969 年に作成され、すぐにソ連で最も人気のアニメとなった。最新のエピソードは2006 年に製作された。このシリーズは、いたずらっ子だけど芸術肌なオオカミのヴォルクが、ザヤツという野うさぎを(おそらく食べる為に)捕まえようとする冒険をコミカルに描く。
「ケルジェネツの戦い」 (3)はユーリー・ノルシュテインによる最初の映画のうちの一つであり、1971 年に、我々のシリーズ第一部で言及されたI.イヴァン・イヴァノフ・ヴァノの指導の下、作られた。二人は、14世紀から16世紀のロシアのフレスコ画や絵画とリムスキー=コルサコフによる音楽を使った。物語は、見えざる街キテージの伝説に基づく。しかし、映画は伝説のあらすじに忠実ではなく、ストーリーのクライマックスは、文化の衝突を象徴する、ロシア兵とモンゴルの大群との戦いである。
「霧の中のハリネズミ」(4)はノルシュテイン監督による1975 年のアニメ映画である。愛くるしいハリネズミが、友達の小熊を訪ねて一緒にラズベリージャムを食べるお話である。悪者そうな鷲フクロウがハリネズミの後をつける。ハリネズミは森を通り抜け、美しい白馬に遭遇。彼は、霧の中で馬が眠ってしまったら、溺れるだろうか、と声に出して言ってみる。ハリネズミは、霧の中をちょっと探検してみようと思うが、丘を下ってみたところ、きりが余りにも濃くて自分のピンクの足すら見ることが出来ない。
「お話のお話」 (5)は、ノルシュテインの最高傑作であるとされている。数々の賞を受賞し、批評家や他のアニメーターに絶賛されて、さまざまな世論調査で史上最高のアニメ映画と評価されている。タルコフスキーの「鏡」のように、この映画は、人間の記憶が浮き上がるように、表そうとされている。記憶はきちんとした時系列で想起されるのではなく、引き金があり、関連性により、蘇る。そのように、このアニメは、関連性のあるシーンが織り混ざって出来ている。「お話のお話」は1984年ロサンゼルスで行なわれたオリンピック芸術祭で史上最高のアニメ映画に選ばれ、2002年に再び同じカテゴリーで選ばれた。
長年放映されてきた「おやすみ、坊や!」(6)のテーマソングを知らないロシア人の子供がいるとは想像し難い。1964年に始まり、未だに放送中である。
「プラスチック粘土のカラス」 (7)ソ連の検閲係は、「イデオロギー的にくだらに」ため、この映画を禁止したかった。しかし、ペレストロイカ時に社会が開かれるようになったときに映画はようやくソ連のテレビで放映された。アレクサンドル・タタルスキー監督は自分のスタジオ(ピロト)を創設することが出来、アブスルドのジャンルのフィルムを作った。「昔々犬が住んでいた」(8)はウクライナの昔話をもとに作られたソ連の評判の高いアニメである。E.ナザロフにより製作されたこの作品は1983年国際映画祭で1位を受賞した。物語は年老いたため、役に立たず、飼い主から追い出された番犬の話である。犬は森に向かい、宿敵のオオカミに会う。オオカミは子供を誘拐するふりをし、老犬が子供を「救助」したかのように見せかける。老犬は再び家族に迎え入れられ、オオカミに恩返しすることにする。老犬は、オオカミが家に侵入するのを手助けし、食卓のごちそうを食べさせる。
イヴァン・マクシモフ監督は、「ボレロ」(9)など皮肉たっぷりの作品で最も良く知られている。
「とんでもない男の夢」(10) は1877 年に書かれたフョードル·ドストエフスキーの短編小説である。この世界で生きるためのものがないので自殺を決意した男の話である。若い女の子との偶然の出会いが彼の心を変える。心を動かすこの映画はアレクサンドル・ペテロフ監督のものである。
「老人と海」(11)(1999)は、アレクサンドル・ペトロフ監督による、アーネスト·ヘミングウェイの小説に基づいたペンキガラス短編アニメーションである。この作品は、2002年の短編アニメ部門のアカデミー賞を含む、数多くの賞を受賞した。製作はモントリオールで2年半の歳月をかけて行なわれ、カナダ、ロシアと日本からの投資により実現した。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。