「キリスト教は世界的革新の実例」

ウラジスラフ・スルコフ副首相兼内閣官房長官  =ヤナ・ラピコワ/ロシア通信撮影

ウラジスラフ・スルコフ副首相兼内閣官房長官  =ヤナ・ラピコワ/ロシア通信撮影

ウラジスラフ・スルコフ副首相兼内閣官房長官(48)は、プーチン大統領の側近中の側近で、その理念「主権民主主義」のイデオローグとして大きな影響力をもつ。政府では、科学と宗教問題を担当しているが、宗教の教義自体が革新であるため、この2つにはいかなる矛盾もないと語る。そのスルコフ氏に、ロシア版シリコンバレーを目指す「スコルコボ基金」などについて聞いた。

-学術都市スコルコボの最初の成果は、いつ頃見ることができるのでしょうか。

成果はすでに出ていると考えています。比較的小さいものの、世界的な成果です。逆説的に聞こえますが、実際にそうなのです。あまり高額でないプロジェクトのいくつかが、世界的成功を収めていて、例えばアプリのニュース360(news 360)は、アプリ・ストアのトップ10に入りました。このアプリで報道記事をシステム化し、検索結果をユーザーの関心に合わせてフィルタリングすることができます。これにより、関心のある情報の検索にあまり時間がかからなくなるのです。すべてのプラットフォームにおけるこのアプリの総ダウンロード数は、200万回以上で、アプリ格付けは5段階中4.5点以上です。スコルコボはまだ始まったばかりなのにこの成果ですから、これは大成功と言えるわけで、とても誇りに思っています。

もうひとつの成功したプロジェクトは、完全にロボット化された鉱業を開発しているヴィスト・マイニング(Vist Mining)社で、国営企業のセヴェルスタリ、シベリア石炭エネルギー会社、アルロサでは、その試験プロジェクトが実施されています。ヴィスト・マイニングは自社株の30%の新規株式公開(IPO)を行い、4億ルーブルから5億ルーブル(約10億円から13億円)ほどの利益を得ようとしています。これはメガプロジェクトではありませんが、知的で技術的なプロジェクトです。さらに、GPSシステムではなく、ロシアの全地球的航法衛星システムGLONASS(グロナス)を使っていることも重要な点です。

インフルエンザの予防注射を開発している、クァンタム・ファーマシューティカルズ(Quantum Pharmaceuticals)社についても触れておく必要があるでしょう。すでに臨床試験の第1段階が進んでいます。まだ半年しか活動していないスコルコボにとって、これは悪くない結果です。

現在この学術都市には、国内43地域の700社が入居者として登録しており、総額83億ルーブル(約210億円)の161件のプロジェクトへの融資が承認されました。同時に、ほぼ同額(協調融資の42%)をベンチャー基金、その他の発展機関、ビジネス、参加者自身などが投資しています。これは、市場がそれぞれの具体的なプロジェクトの結果に、関心を寄せていることを示す指標ですから、非常に重要です。現在大手企業23社が、255億ルーブル(約650億円)を投じて、自社の研究開発部門をこの学術都市スコルコボに設立しようとしています。その企業の中には、ノキア、マイクロソフト、ゼネラル・エレクトリック、シスコ、インテル、シーメンスなどが名を連ねています。スコルコボの入居企業には、12億ルーブル(約30億円)がベンチャー基金から投じられており、この基金の約半数は海外の基金です。このような関心と、プロジェクトへの参加意欲も大きな成果です。スコルコボの当初からの目標は、今後10年で5名のノーベル賞受賞者を輩出することです。

-宗教団体委員会の指揮を取られていますが、同時にイノベーションも率いていますね。科学と宗教をどのように掛け持ちするのでしょうか。 

ここに矛盾はありません。宗教の教義自体が偉大な革新です。例えば、キリスト教についてですが、これほど世界を変えた革新プロジェクトはあるでしょうか。統一された道徳律法への信仰を含めた多くのことを、人間に与えました。現代の科学は何にもとづいているのでしょうか。普遍的法則の存在についての固い信念にもとづいているのです。人間のあらゆる知識とは、もともと宗教的なものだと考えています。科学的方法の基礎には公理、公準、すなわち証拠なしに信念の証となる行為で受け入れられるものがあるためです。無神論でさえ、劣化し、混乱しているものの、神と関連性があると思います。少年が父親との関係がうまくいかなかったとして、それは父親がいないということではなく、父親は常にいます。科学技術的革命は、人間の自分の弱さへの蜂起だと確信しています。そして、最初に蜂起を訴えたのは、イエス・キリストなのです。

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