原発先進国・日本の責任

=タス通信撮影

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日本政府は9月、2030年代に原発稼動ゼロを目指す新エネルギー戦略を発表した。それを読むと奇異な感覚に囚われる。

その2か月前には、福島第一原発事故の原因に関する独立した報告が発表された。その結論は、ジャパンメードアクシデントという私の個人的評価と完全に一致している。

つまり、事故原因は、国際社会によって作成された安全の原則が誤っていたことにあるのではない。それらは、国際原子力機関(IAEA)などが勧告するように正しく運用する必要があるのだ。

これは、数十年前にお目見えした原発の設計が原発の安全を保障するばかりでなく、発電事業者もその可能性がいかに小さくとも、あらゆる事故に対する備えができていなければならないかを意味している。

日本では、原発の安全性が建設当初から変わらないという別のアプローチが支配的であった。

ウラジーミル・アスモーロフ

著名な原子力経済分野の専門家、IAEA事務局長付属国際原子力安全諮問グループのメンバー。
工学博士。
長年、ロシアの『クルチャトフ研究所』で研究に従事。チェルノブィリ原発事故の処理に参加し、勇猛勲章を受勲した。
2011年、世界原子力発電事業者協会の総裁に就任。同年3月、福島原発事故に関連して日本の専門家たちとの協議および助言その他の協力のために日本を訪れた。

この間、スリーマイル島原発(米国)とチェルノブィリ原発(ソ連)で事故が発生した。全世界が事故から教訓を引き出し、原発の安全性を高めた。

世界には、正常な運転の際に原発に何が起こり、深刻な事故の際に何が起こりうるかを理解する知識のベースが存在している。原発で想定外の事象が重なったとしてもコントロールは可能である。

日本はこの面で破たんをきたした。

日本の学者や専門家は蓄積されたあらゆる知識に通じていたはずであるが、国のレベルでは事故の予防策はあっても事故の制御や処理の分野における十分な対策はなかった。

民間の事業に対して影響力を持つ確固たる独立した調整機関がないことも状況を深刻化させた。

このことを踏まえたうえで新エネルギー戦略を見てみよう。

福島原発事故以前に作成された戦略では、二酸化炭素削減を目的に国のエネルギー全体に占めるクリーンエネルギー・原子力の比率を50%まで増大させる必要性が述べられている。ところが、原発事故後、新戦略では2030年代に原発ゼロを目指すことになった。それが心ある人々に多くの疑問と反論を呼び起こしたのは当然である。

日本は、世界で最も発達した原子力部門の一つを有している。日本には他国に対する一連の義務があり、原子力分野における長期のコンタクトがある。国内に発達した原子力なくして、どうして国外でそれを発達させることができよう。

日本政府の対応も分からないわけではない。一方では、人為的な福島原発事故、原子力に対する国民の信頼の危機があり、他方では、国内で建設された世界最高水準の原発を直ちに閉鎖する必要があるのかといった問題がある。

実業界は、国の将来を冷静かつ合理的に評価し、断固とした発言をして欲しい。