血中アルコール濃度0.2パーミル以下は、飲酒運転に該当しないという最小許容濃度の設定に対して断固反対し、0パーミルしか認められないとしてきたが、法案作成者らとの会合で、その考えが揺らいだ =タス通信撮影
酩酊状態での自動車運転に対する罰則強化法案を作成している議員らは、アルコール酩酊状態の明確な定義づけをめぐり、メドベージェフ首相と話し合った。
首相は、血中アルコール濃度0.2パーミル以下は、飲酒運転に該当しないという最小許容濃度の設定に対して断固反対し、0パーミルしか認められないとしてきたが、法案作成者らとの会合で、その考えが揺らいだ。ちなみに、赤ワインなら0.2l(グラス1杯)で0.5パーミルになる。
メドベージェフ首相は大統領だった2年前、自動車運転者に対する「禁酒法」の推進者となり、その法案に署名を行っていた。
ゼロか0.2か
10月5日に行われた非公開の会合の席で、メドベージェフ首相は、血中アルコール濃度の設定の必要性と、それが飲酒運転の抜け道にならないということを、法案作成者の説明で納得した場合には、自分の考えを改める用意があると述べた。首相にこの法案を説明した、国家院憲法的法律・国家建設委員会のヴャチェスラフ・ルィサコフ第一副議長がRBCデイリー紙に語った。
「首相は、0パーミルという数字を少しでも引き上げれば、車でひとっ走りする前に酒を飲もうとする人間が出てくると考えていて、あくまでも自分の意見を変えるつもりはないと言いました。ただ、その考えが違うと証明されれば、方針を変える用意があると付け加えました」。
酩酊状態の濃度とは?
ルィサコフ氏によれば、氏のもとにはすでに、この分野の主な専門家からメッセージが寄せられてきている。彼らは、0パーミルに反対しており、国内外の調査をもとに、自身の正当性を訴える用意があるという。ルィサコフ氏は、これらの科学的調査により、首相のすべての疑問を払しょくできるはずだ、と述べた。
ルィサコフ氏は、測定誤差を考慮に入れると、0パーミルという数字は不適当で、変更が必須だと説明した。
「罰則を強化するのであれば、何よりも酩酊状態の基準を法的に定める必要があります。この法案では、違反者の酩酊度によって、罰金額を倍増することが提案されています」。ルィサコフ氏は、0パーミルの変更を訴えているからといって、法案作成者らが運転者の飲酒を許可しようとしているわけではない、と以前にも述べていた。
氏いわく、単に0パーミルという基準が、「科学的でない」、「根拠がない」、「常識に合わない」のだ。
酩酊度に罰金が比例
「例えばスウェーデンでは、0.2パーミルが飲酒の基準点ですが、やはり0パーミルにしようとして、研究者がその数字が非科学的だと証明した経緯があります」とルィサコフ氏は言う。
この許容基準には、測定機器の誤差や、飲酒によらない「内因性アルコール」なども考慮する必要があると、氏は説明した。毒物学者、麻酔学者、薬理学者などの専門家すべてが、0パーミルに反対しているという。「運転前に飲んでなくても罰せられることがあります」。
要するに、「酩酊基準」を法的に定めることが、罰則強化に必要だというのが、法案作成者らの意見だ。酩酊度別に細分化される罰則は、最高で3年間の禁錮と強制労働となっている。
下院(国家会議)でこの法改正が審議された際、多くの議員や内務省の代表者までが自動車の差し押さえを提案したが、それは通らなかった。
だが、法案作成者は、悪質な違反者の自動車を別の形で没収する規則を考えついた。
「違反者が罰金を支払わなかった場合に、確実に罰則を課すための対策として、自動車を差し押さえるという法案を考えています」とルィサコフ氏。
法案は、まず15日に、与党「統一ロシア」で検討したあと、閣議に付される予定だ。法案には、運転者の血中アルコール濃度0.2パーミル以上の場合、酩酊状態と見なされることを詳細に説明した文書も添付される可能性がある。
ワレリー・リャザンスキー、連邦院社会政治委員会議長
罰則が強化されれば、現在の状況は必ず良くなるだろう。世界各国が、国民に運転前に飲酒してはいけないと教育し、違反を厳しく罰してきたが、ロシアにもようやくこのような規則をつくる時がきた。この基本的な規則は、飲酒運転や無謀運転で亡くなってしまった、多くの被害者の血によって署名されている。法案は年末までには可決されるだろうし、それで運転者がより規則に忠実になるだろう。
ワジム・ソロヴィヨフ、国家院憲法的法律・国家建設委員会副議長
何よりも、酩酊状態にある人間の基準を明確に定めなければならない。0パーミルという現在の基準は厳しすぎる。いまだかつて酒を飲んだことがないのに、医薬品やケフィール(ヨーグルト)などの影響で、血中のアルコール分が検出されてしまうとの声が、国民の多くから寄せられている。したがって、まず酩酊状態の人間とは何なのかを明確に定め、それぞれの責任感を高めなければならない。
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