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レバダ・センターのアレクセイ・グラジュダンキン副所長がコメルサント紙に語ったところによると、「『検閲』という言葉には否定的な意味合いがある」ため、インターネットの直接的な検閲は、未成年などの特定年齢層に対する閲覧制限ほど支持されないとの仮説を当初立てていた。
しかしながら、調査結果は予想に反するもので、インターネットの“検閲”に賛成と回答した人は全体の65%、反対は19%、より柔軟な「未成年に対するインターネットのアクセスの“制限”」を支持した人は65%、支持しない人は22%と、それぞれ反対意見が賛成の3分の1にとどまった。
2012年11月1日から、ロシアでは、頒布が禁止される情報を含むインターネット・サイトが「ブラック・リスト」化される見通し。この情報とは、児童ポルノ、麻薬製造方法、自殺への誘引などだ。ブラック・リストは、今夏、下院で採択された、ロシア連邦法「児童の健康および発達に有害な情報からの保護について」の一環として作成され、ロシア連邦通信・情報技術・マスコミ分野監督局が運用する。
伝統的に検閲に慣れている?
「『検閲』という言葉に、国民の大半は危機感を感じない」ということが判明したと、グラジュダンキン副所長は調査をまとめ、次のように述べた。「教育や生活の水準が高いほど、また年齢が低いほど、自由を制限されることに敏感だ」。
しかし、政治時事関連の情報を得るために、インターネットを使用している人の中で見ても、検閲に賛成している人は61%、反対は29%で、その割合に大きな偏りは見られなかった。「国民はインターネットだけでなく、自由や、情報の自由な拡散も恐れている。こういった人々は、国が国民の全生活を守り、責任を持つというモデルに慣れている」。
人権擁護機関アゴラのパーヴェル・チコフ所長は、インターネットに対する管理強化はロシア国内に限らず、世界の傾向になっていると考える。「このような政策は、中東や中国などの保守的で権威主義的な国家のみならず、先進的な西側の民主主義国家でも採用されている。イギリスでは政府がインターネットの規制と管理に介入して、騒動に発展したし、アメリカやブラジルでもそのような前例がある」。
プーチン大統領の指示
10月初め、プーチン大統領は、インターネット上にある原理主義的プロパガンダに対する、効果的な障壁を設置するよう関係機関に呼びかけるなど、インターネットの管理強化を支持している。大統領は、ネット上にはびこる、民族的、宗教的、社会的狭量のプロパガンダへの対抗策を取ることで、テロとも戦えると考えている。
インターネットへの追加的な制限は、下院(国家会議)の新しい「情報政治委員会」の課題のひとつである、とアレクセイ・ミトロファノフ議長は述べる。
欧州安全保障協力機構報道の自由部門のドゥーニャ・ミヤトヴィッチ代表も、ロシアは依然として、インターネットが自由に使える国で、ロシア政府は報道の自由を保障するために新たな一歩を踏み出していると考えており、欧州安全保障協力機構との相互協力関係を、「ドアが開け放たれた政治」と呼んでいる。
「自由制限に関する憲法規定に該当する状況はない」
情報の自由を含めた、人間の権利や人間の自由を制限できるケースを、憲法は明確に定めていると、ロシア国立高等経済学院「ユネスコ著作権その他知的財産権憲法講座」科学方法論センターのアスタムル・テデエフ副学長は語る。
「ただし、そうしたケースである非常事態や、国家体制への脅威などは、現在のところ認められない」。
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